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「針金? ううん、そんなものなんて──ん?」
 首輪と反対側のポケットに折りたたみ爪を入れてあったのを思い出す。折りたたんだ状態だとやっぱり傘としか思えない……。ミャウの爪は取り上げられてしまったが、彼のはおかげで没収されずに済んだのだ。
「これ、どう? 一応爪……というか傘の骨だけど」
「フミュ……ま、いいでしょ。ちょっと貸してね」
 ミャウはそれを手にとると、扉の前にしゃがみこんだ。爪の先を鍵穴に差し込み、奥のほうを探るようにいじり回す。しばらくしてカチッという錠の外れる音が聞こえた。
「ま、ざっとこんニャもんね」
 ミャウがすました顔で言う。
 すげえ! でも、これっていわゆるピッキングだよな……。驚きに目を見張る朋也に傘爪を返しながら、ミャウはちょろいもんだと言わんばかりに肩をすくめてみせた。
「さ、行きましょ?」
「よしきた」
 ジュディとマーヤの閉じ込められた隣の檻の前まで来る。錠は鍵がなくても外側からなら開くようになっていた。早速2人を解放してやる。
「サンキュ~~♪」
「何だよ、出られるんだったら最初からさっさと出ればいいだろ!?」
「ガキンチョか誰かが来るのを待ってたんだもの。脱獄は最後の手段よ。余計ニャトラブルを引き起こしたら返って面倒でしょ? それだからあんたはバカイヌって言われるの」
「と、ともかく、グズグズしないでご主人サマを助けに行こう!」
 合流した4人がまさに地下牢を後にしようとしたときだった。誰かが階段を降りてくる音が聞こえてきた。なんてタイミングの悪さだ。形だけでも檻に戻って知らんぷりを決め込んだほうがいいだろうか!? それとも──



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