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13 ミオの恋人




 朋也たちはいま、ユフラファの北東に位置するモルグル地峡にさしかかったところだった。フェニックスの神殿のあるオルドロイ山は、テレッサ平原より一段標高の高いスーラ高原にあり、両者の間には峻険な尾根が横たわっている。尾根を越えて神殿に行くためには、この地峡を通り抜けなければならない。
 神殿にいちばん近い村とはいえ、オルドロイまではほぼ1日がかりの行程だ。早朝に出発しても、麓に辿り着く頃には正午をかなり回っているはずだ。トラの告げた千里を生贄に捧げる儀式が執り行われるのは夜半の月蝕の時刻だが、早めに阻止できるに越したことはない。一行の足取りは自然と速くなった。
 地峡をジグザグにめぐる山道に架かる吊り橋の最初の1つの手前まで来たとき、不意にミオが立ち止まって狼狽の叫び声を上げた。
「!! いっけニャ~イ! あたい、村に忘れ物してきちゃった。戻らニャきゃ……」
「ユフラファに置いてきたんなら、別にそんなに心配しなくても後で取りに帰ればいいだろ? そんなに大事なものなのか? 一体何を忘れてきたんだ?」
「えっと~……」
 ミオにしては珍しく、あたふたと落ち着きのない素振りで言葉を探す。
「内緒。ともかく、あたいいったん戻るよ。すぐに追い着くから先に行ってて!」
「一人であわてて行ったりしたら危ないだろ。モンスターだって出没するんだし。どうしても引き返すんなら──」


*選択肢    俺も一緒に行く    誰かに行かせる

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