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千里: +

「わかりました。千里のことよろしくお願いします」
 こんなにすごい魔術師の師匠が手取り足取りで指南してくれるなんて、願ってもないチャンスだものな。できることなら自分が代わりたいくらいだ。
「なぁんか、自分の方が残りたかったって顔してるわね~」
 千里に顔をのぞき込まれる。
「べ、別にそういうわけじゃないけど……」
 相変わらず目敏いやつだな……。
「……フフフ、2人を見ていたら、若かりし日の自分を思い出してしまったわ。大丈夫、彼女ならきっとキマイラに打ち勝つだけの力を身に付けることができるでしょう。9日後を楽しみにしていらっしゃい」
「ちゃんと迎えに来てね?」
「ああ」
 最後の台詞は少し心細そうに聞こえた。千里のことだから、イヴの申し出を二つ返事で受け入れると思っていたが、それでもジュディも自分もいないところで9日間もこもることには、ちょっぴり不安を覚えていたのかもしれない。イヴもいてくれるんだからそんなに心配は要らないだろうけど。
 手を振る2人を屋上に残し、階段に足をかけた途端、朋也はうんざりする思いに駆られた。これからこの階段、40階降りなきゃならないのか……(T_T)


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