「せっかくだから、ついでに俺も一緒に修行させてもらえないかな?」
こんなにすごい魔術師の、おまけに大美人の師匠が手取り足取りで指南してくれるなんて、願ってもないチャンスだものな。苦手な魔法も彼女に教授してもらえれば克服できるかも。
「残念だけど、いまのあなたの魔力じゃ100年くらい修行しないとモノにならないわね……。それに、千里とはマンツーマンで魔力の開発に集中したいの。朋也にはこの間に銃の腕を磨いておいてもらえませんか?」
「そ、そう……」
「あんた、本当に修行が動機で残りたがったのぉ?」
千里に顔を覗き込まれる。
「あ、当たり前だろ!」
相変わらず目敏いやつだな……。
「……フフフ、2人を見ていたら、若かりし日の自分を思い出してしまったわ。大丈夫、彼女が真の力を開花させることができればキマイラでさえ怖くはないわ。9日後を楽しみにしていらっしゃい」
「そういうわけだから、あんたは足手まといにならないようにちゃんと自分で特訓してなさいよ!?」
「ちぇっ」
追い出されるように屋上を後にする。階段に足をかけた途端、朋也はうんざりする思いに駆られた。これからこの階段、40階降りなきゃならないのか……(T_T)