「う~ん……」
朋也は腕組みしながら考え込んだ。〝人を好きになるときの気持ち〟か……。どうやって説明したものやら。メッセンジャーとして動物の心を理解しようとするフィルの努力は十分買うが、さすがにこれだけはな……。何しろ、有性生殖はオプションにすぎないと言ってのける樹の精だし。結局、彼女に伝えるのは無理だとあきらめる。
「……やっぱりフィルに理解してもらうのは難しいかもしれないなあ」
「そうですか……」
フィルは抱きかかえた両膝の上に顎を乗せ、しょんぼりとつぶやいた。
「さあ、明日のこともあるし、今日はもう寝ようか?」
「ええ……お休みなさい……」
焚き火の残量を確認し、鉱石を付け足す。朝までは何とかもつだろう。エメラルド号を風除けにし、頭を向け合い横になると、2人は眠りに就いた。