世界を救うことも、破滅に導くこともできるか……。なんかあまりにスケールの大きな話で実感が沸かない。だが……もし彼女の言うことが本当なら、千里が犠牲にならなくてもエデンを救うことができるということだ。試してみる価値はあるかもしれないな……。
「わかった。君を信じてみるよ、ニーナ。一緒に来てもらえるかどうか、ちょっとみんなを説得してみる」
ニーナはうなずいた。
「お願い。それじゃ、明日の朝、もう一度この場所へ来てちょうだい。それと、これを渡しておくわ」
イルカの絵が描かれたワッペンを彼女の手から受け取る。
「朝目覚めて、今夜の出来事が夢だと思っちゃうといけないもんね。じゃあ、また明日ね♪」
「ああ、お休み!」
口にしてから、イルカの習性について聞いた話を思い出した。そういや、彼女たちは右半身と左半身で替わりばんこに眠るって話だったっけ……。ニンゲンにはとても真似できそうにないけど。
ニーナは手を振ると、身を翻して海中に潜っていった。
1人残された朋也は、彼女のくれたワッペンをしげしげと見つめた。夢じゃないのはわかってるけど、それでもやっぱり夢みたいだな……。
ここへ来て大きく急展開を見せた事態に戸惑いを覚えつつも、すべての解決につながるサファイアのアニムスの力に、朋也は賭けてみようと思った──