ミオはもう1度、うっすらと目を開いた。
「あたい……もう……駄目ニャのかニャ……」
朋也は青ざめながら、彼女の差し出した手をギュッと握り締めた。頼む、誰か彼女を救ってくれ! このままじゃ、俺が彼女を殺したことになっちまう。いくら2つの世界が救われたって、それじゃ何にもならないよ……。
と……みなが見守る前で、彼女の身体が仄かな紫色の光を発し始めた。な、何が起こってるんだ!?
光はついに目を開けていられないほどに強まった。膝の上のミオの体重が突然軽くなる。こ……これは!?
「ミャ……ミャァ~……」
光が収まってみると、そこにいたのはミオだった。家出する前に見たままの……。彼女はバツが悪そうにみなの顔を見回し、せっせとヒゲを洗った。
「ネコの姿に戻っちゃったよっ!?」
クルルが目を瞬かせて叫ぶ。
「そっかぁ~……きっと、エデンに来て増幅された生命力をすべて使い果たしちゃったのねぇ……」
マーヤが理由を解説した。顔を近寄せると、ミオは触角に向かってネコパンチを繰り出す。
「ひゃあっ」
朋也は全身の緊張が一気に抜け、ホッと大きくため息を吐いた。彼女をそっと両腕に抱きかかえる。
「そっか……。アハハ♪ ミオ……よかった……」
頬擦りをすると、彼女は小さな舌をチロッと出して、彼のほっぺを嘗め回した。
「……なんだか、今までのことはお前が見せてくれた途方もない夢だったような気がするな。一緒に冒険したり、ドギマギさせられたり、結構……楽しかったよな。怖いことや、悲しいことも、あったけど……。でも、もう終わったんだ……何もかも……」
彼女をそのまま胸に抱くと、朋也は徐に立ち上がった。
「さあ、ミオ! 一緒にお家へ帰ろう!!」
「ニャア♪」
the end