「神獣でも何でもいい! 俺と結婚してくれ!!」
この場にまったくそぐわない台詞に、パーティーの面々はあきれ返った。
「朋也が壊れちゃったわ……」
「駄目だニャ、こりゃ」
「もうパーティーから外そうぜ!」
マーヤがどっかからハリセンを持ち出してくる……。
「ハニーハリセンチョォォ~~ップ!!」
朋也は我に返った。
「……正気に戻りました」
彼ではリーダーの任に耐えないと判断したミオが号令をかける。
「いい、みんニャ? 皆既日蝕が終わるまでが勝負よ!」
「OK!」
朋也たちがこの世界を統べる3人の守護神獣との戦闘も辞さないことを見て取ると、3神獣は自らの守護鉱石と同色の強烈なオーラを威嚇するようにほとばしらせた。中でも、最も強烈な青白い輝きを放っているのは、5メートル超級の残りの2人と違い普通のウサギ族の身長しかないサファイアの神獣、クルルだった。
「くっ……ニャンて威圧感ニャの!? 彼女があのお尻の青いガキンチョだったニャンて信じられニャイ!」
ミオの口ぶりからは、彼女が内心怖気づいていることが伝わってくる。
≪もう1度警告するぞ、朋也よ。お前たちに勝ち目はない。言ってわからねば、身をもって思い知るがよい!≫
キマイラが前口上を述べる。
≪蒼玉によって再び私が召喚されたということは、エデンに未曾有の危機が訪れたということ。命を奪うのは本意ではありませんが、アニムスは死守せねばなりません。さあ、神獣クルル、ともに世界を護りましょう!≫
フェニックスも。気立ての優しいといわれる彼女も、いまはアニムスを脅かす者たちに険しい視線を向けている。
≪アニムスには指1本触れさせはしません。エデンを護るのが私の使命……≫
そして、クルルも。
朋也は他の2頭を無視し、サファイアの神獣──プロポーズまでしたかつての想い人をじっと見つめて叫んだ。
「クルル……たとえお前と戦ってでも、俺たちの世界は消させないっ!!」