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フィル: ---
* ベストエンド不可

「俺たちは元の世界に還らなくちゃならない。キマイラとだって約束してるんだし……。ともかく、こんな所でグズグズしてるわけにはいかないんだ! 邪魔をしないでゲートの所まで通してくれないか!?」
 しばし沈黙してから、フィルの口を借りた神木は答えた。
≪オ前達ヲ向コウノ世界ヘ還スワケニハイカナイ……。ものすふぃあノ影響ヲ排除スルタメニハ、彼ノ世界ノ同胞ニ意思ヲ送リ込ンデ連携ヲ取ル必要ガアル。狡知ダケハ回ルオ前タチ動物ノコト、向コウヘ着ケバ彼ノ地ノ非力ナ森ヲ焼キ払ウツモリデアロウ。ココデ消エテモラワネバナラヌ……≫
「冗談じゃないわ!! そんなバカげた真似、私たちがするわけないでしょ!? あんたたち、そんなふざけた理由でエデンばかりか私たちの世界の動物まで皆殺しにする気なの!?」
 千里がもう辛抱ならないという体で怒鳴り散らす。
 だが、神木にはそれ以上朋也たちと交渉する気などないようだった。
≪……森ノ肥ヤシトナレ……≫
 頭上が不意に暗くなる。神木の、そして広場を取り巻くすべての木々の樹冠がざわざわとうごめき、広場の空間を包み込んでいく。
 ふと動きに気づいて足元を見やると、地面の下から竹の子が突き出してパーティーを取り囲もうとしていた。フィルの常用する特殊スキル、バンブーサークルだ。
「ちっ……あたいたちを閉じ込める気よ!」
 ジュディが剣で次々に薙ぎ払い、ミオもそれを手伝う。だが、竹の檻の伸張速度は2人の作業のそれを上回った。
 朋也は怒りに身を震わせ、彼女に贈られた≪神木の杖≫を振りかざした。そう、あのときこの杖を贈ってくれたのはフィルだった。相手に気持ちを伝えることになど一切関心を抱かない神木ではなかったのだ。感謝すべきだったのは彼女だった。こんなことになる前に、彼女にお礼を言っておきたかった……。
「お前にそこまで好き勝手なことされてたまるか!!」


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