そして迎えた、マーヤがこの世界へ来て6年目の記念日──
「ケェ~キ、ケェ~キィ~♥」
朋也は身内だけのささやかなパーティーを開いた。主賓であるマーヤをリビングに招き入れる。
テーブルの上のケーキを見たマーヤの表情が一瞬曇った。
「あれぇ、おかしいわねぇ? ロウソクが5本しかないように見えるんですけどぉ? 6歳の誕生日なんだからぁ、ここは6本であるべきよねぇ? なんだか2本だけ大きさが全然違うしぃ……」
「100歳×2+1歳×3さ♪ てことで、203歳おめでとう、マーヤ♪」
パンパンと景気よくクラッカーを鳴らす。
「203歳じゃないもん、6歳だもん! なんで毎年毎年そうやって嫌がらせするわけぇ~!?」
マーヤがカンカンになって怒鳴る。これも毎年のことだけど……。
「もういい加減あきらめろよ、マーヤ……。素直に来モノスフィア6周年記念でいいだろ? どうしても誕生日にしたいんなら、せめて26か36にしとけよ」
「36ぅーっ!!?? 朋也ぁ、あなた、あたしのことそ~ゆ~目で見てたわけぇ~!?」
いや、普通に203歳と見てたけど……火に油を注ぎかねないので、口に出すのはやめておく。
「あたしは少なくともまだ20代のつもりだからねぇー! 大体36つったら、ミオちゃんだってニンゲン年齢に換算したらそんなもんよぉー」
戸棚の上で傍観を決め込んでいたミオにまでとばっちりがいく。彼女はテーブルの上に飛び降りると不機嫌そうにうなった。
「ウミャミャッ!」
(あたいを引き合いにするニャ! あたいだってまだ20代のつもりニャ!)
放置するとせっかくのケーキにまで被害が及びかねないので、朋也はまあまあと2人をなだめながら提案した。
「じゃあまあ、ここは間をとって、2人の36歳祝いということでいいかな?」
2人の動きが止まり、変な間がリビングを支配した。
「朋也のヴワァアァァアアァアアァクワァアァアアァーーーッッ!」
「フギャギャギャッ!!」
(朋也のヴワァアァァアアァアアァクワァアァアアァーーーッッ!)
それからは、食器やらお菓子の包みやらプレゼントの箱やら様々なものが部屋中を飛び交い、目も当てられない有様に。ケーキもいつのまにかグシャグシャになり、3人ともクリームまみれになってしまった。
2人にポカポカなぐられ、引っかかれ、さんざんな目に遭いつつも、来年もまたこんなパーティーが開けたらいいなと思う朋也だった──
fin☆