本作中では犬をフリーリードで連れ歩くことを奨励しているように見られるかもしれませんが、作者としては残念ながら、現状ではお薦めはできません。歩行者(人・犬・猫etc.)より自動車優先のこの国では、交通事故のリスクも捨て切れませんし。もっとも、ただでさえ家屋が狭く犬たちにとってフラストレーションのたまりやすい環境で、草っ原や河原のように自由に遊べる場所も減る一方なのですから、条例がどうのこうのとうるさく言う前に、各地でドッグランをきちんと整備するのがまず先決だと思うのですが。
本作の結末、11章・12章については、それまでの展開との落差に驚かれたかたもいるかもしれません。一応、11章でフラウが死なず行方不明になり、12章で翔太とジョニーが入れ替わる寸前に戻ってくるという顛末も考えました。13章『想いをひとつに』で、フラウがジョニーを犠牲にせず翔太を戻す方法を見つけ、願いを叶えたミスター、レオン(サンジ&ミント)、そしてジョニー(〝ジョニー〟)の印を使って元通り、大団円──と。もっとも、この筋書きで〝命の重み〟について読者に深く考えてもらおうとすれば、並々ならぬ筆力が要求されますけど・・。
本作の執筆にあたっては、千葉県市川市のドッグカフェ ブブズ・パウ/遠藤警察犬家庭犬訓練所にアジリティについていろいろと教えていただきました。