☆ オ マ ケ ☆




=解説付挿絵=

ネコ

 ネコについて書き始めると本一冊になっちゃうので、ここでは知性について論じたい。
 「ネコは(イヌより)頭が悪い」と言われることがある。「迷路学習の成績はネズミにも劣る」とまで言われたりもする。が、そんなことはない!(などというとネズミには失礼だが) ネコは本当に頭がよい!!
 例えば、ドアを勝手に自分で開けてしまうネコは世に多く知られているが、これこそ彼らの知性の証の一つといえる。後肢立ちしてノブを押下する動作は、単なる模倣やでたらめな行動からは発生しえない。ネコたちは人間の行動をつぶさに観察し、ドアの開閉機構とノブの操作の関連性を見抜き、自らが室外に出るという問題解決のために応用しているのだ。まさにイルカやチンパンジー、カラスにも劣らぬ洞察力である。社会習性を考慮するなら、ネコに座布団一枚追加せねばなるまい。ネコはかくも天才なのである!! (補足)

ミオ

ジュディ

ベルジアン・シェパード

 ベルジアン・シェパード(またの名をベルジアン・シープ・ドッグ)は、ベルギー産の牧羊犬四犬種の総称。黒色長毛のグローネンダール、黄褐色長毛のタービュレン、短毛のマリノア、ワイヤーヘアーのラケノアがあり、犬種名は原産地付近の地名に応じて付けられた。
 ジェイクはグローネンダールという設定だが、遺伝子の組み合わせ次第では、タービュレンの両親から黒毛の子が生まれる可能性もある。
JKCでは四種まとめて一犬種扱いとなっている。血統書の発行が書類審査で通ってしまう日本では、四犬種間の混同や遺伝的な交雑が多いという事情もありそうだ。日本の犬種の血統管理の甘さは、昨今社会問題化している悪徳ペット屋の横行を招いているとの指摘もある。厳格な血統管理がその子たちにとって幸せかどうかはまた別問題だが……。
ベルジアン・グローネンダールはワン・オーナータイプで一人の飼い主にベタベタする、攻撃性は低く愛情深いという声がある一方で、ものの本によってはジャーマンより攻撃性が高く、執念深く豹変すると書かれてたりもする。やはり家庭環境次第、だニャ~。


柴犬

 日本の国産犬として最もポピュラーな柴犬は、縄文時代の遺跡から骨が発掘されており、いまの日本人より古い歴史を持つほど。最近は小柄で黒白模様のメリハリのはっきりしたマメシバが、洋犬の小型種の感覚で若い人たちに受けているようだ。
 ただ、国が天然記念物指定した正式な日本犬"ブランド"を冠するのは秋田犬、北海道犬、紀州犬、四国犬、甲斐犬、柴犬の6種のみであり、その意味では豆柴は"規格外"ということになるらしい。。もっとも、もともとはアイヌが育ててきた北海道犬は含まれて琉球犬は対象外だったり(沖縄県からは指定を受けているが)、川上犬などのようにそれぞれの地方で育種されてきた品種もあるのだが……。洋犬に対しては和犬なりヤマト犬なりの用語が必要なのか??
 ついでにいえば、文化庁が保護しているのは血統であって、個々の犬ではない。柴犬だろうと紀州犬だろうと、保健所に持ち込まれればやはりミックスや豆柴と同じように処分される。。
 最近の純血種ブームによる需要増大に対しては、育成が進んでいない現状を受け、柴犬を育てる保存会なども全国各地に見られる。一方、流行に乗った犬種すべてにいえることだが、〝乱造〟による〝品質の低下〟を憂える声もある。
 その際どうしても気になってしまうのが、〝曲がったキュウリ〟や〝売れ残り〟の行く末だ。個人の良心的なブリーダーは不遇を強いたりしないだろうが……。
 こどもができたら親戚にもらわれていった〝ありふれた柴系のイヌ〟が家々で飼われていた時代も、それはそれでよかったのかも。

テツ

ファルコ

シー・ズー

 本編中で解説しているとおり、皇帝犬である。チベットではラマ教の学問の神がライオンに変身できるイヌを連れていたとされ、外見とともに獅子狗(シーズークー)という呼び名の由来とされる。二千年ほど前からチベットの寺院で魔除として飼われていたのは、シー・ズーの原種でより毛の長いラサ・アプソという犬種である。ダライ・ラマが中国皇帝にこのラサ・アプソを献上し、同じく中国皇宮で唐代から飼育されていたペキニーズと交配されて、現在のシー・ズーの姿になったといわれる。他の二種もシー・ズー同様気位の高いタイプだ。
 初心者向けといわれるシー・ズーは、孫に対するような愛情を注げるおじいちゃん・おばあちゃん向けの犬種といえる。
 多頭飼育にあまり向かないのと同様、ネコやフェレットとも相性がよろしくない。このほか、トリミングしないとどんどん毛が伸び続けるというイヌらしからぬ特徴もある。


ボーダー・コリー

 テレビ・映画などでよく多芸多才ぶりを発揮しているボーダー・コリーは、イングランドとスコットランドの境界で生まれた牧羊犬であり、これが名前の由来ともなっている。
 牧羊犬として最優秀の呼び声高い仕事熱心な犬種なだけに、イヌのIQランキング第一位としても有名。中には、二百の単語を覚え、ヒトの三歳児並の言語理解能力を示した子もいたという研究発表もある。
 とはいえ、使役犬の仕事も含め、イヌたちにとって人間に教えこまれる芸やしつけそれ自体に意味はない。群れのリーダーの意向に沿うこと、仲間と協調作業をすることに喜びを覚えるからこそできることだ(それに対し、ネコは自ら設定した課題しか解く意義を認めないから芸をしない)。
 人間が宇宙人か何かに芸をさせられる立場になったら、きっと駄々をこねてイヌよりずっと物覚えの悪い生徒だと思われることだろう。イヌはつくづく心が広い。

ラッキー

お魚ちゃん

ネコ

 ネコは残酷だといわれる。虫などの小動物を食べもしないのに延々と弄ぶ姿からきているが、これは間違いである。ネコは残酷ではない! 筆者はネコを弁護すべく新説を発表することにした。あれは〝手加減〟なのだ。
 この弄び行動、捕殺の衝動を発散するためというのが定説だが、昨今主流の社会生物学の理論に照らしても、とどめを控える行動が進化するとみなすのは無理がある(興味のある人は本がいっぱい出てるから読んでニャ~)。
 実際、とどめを刺さない行動は別のシチュエーションで見られる。身内(兄弟ネコ、親の尻尾、ヒトの手)とプロレス(狩りの練習)をしているときだ。あの鋭い牙と強力な顎で、決して流血の事態に至らない。"弄び"行動が主に都会でご飯をもらっている飼いネコに見られることを考えると、獲物っぽいけどはっきり断定できないから、兄弟相手と同様に本気を出していない──というのがいちばん近いはず。
 相手に気の毒なことには変わりないが……。


アメリカン・ピット・ブル・テリア

 ボクサー、マスチフ、土佐犬等、闘犬用に生み出された犬種の中でも、その目的が最も色濃く反映された犬種。雄牛にイヌをけしかけるブル・ペインティングという競技(?)のために不正咬合の形質を助長させたのがブルドッグで、さらにテリアを掛け合わせたスタッフォードシャー・ブル・テリアが原種。現在も闘犬を目的としたブリードが行われている。闘争心が非常に強く、アメリカでも〝事故〟が多い。ドイツなど国によっては法規制を受けている。
 まだ形式を重んじる日本の闘犬と異なり、アメリカの闘犬はルール無用のデスマッチである。飼い主が負けを認めて頭を下げない限り、死ぬまで戦い続ける。
 爪と牙と闘争心は、愛情や思いやり同様自然の進化の産物だが、品種改良という人間の業は〝野蛮な野生〟の上をいくのかもしれない。とはいえ、イヌづきあいに注意すれば、愛情深い家庭犬に育てることも可能。

クン=アヌン

マサヒト

パピヨン

 蝶の羽を思わせる大きな耳が特徴のパピヨンは、マリー・アントワネットを始め一六世紀のフランス貴族をも魅了したというビジュアル系ドッグの代表選手である。
 CMで一世を風靡したチワワとともに、このパピヨンは多少デリケートな面があり(悪くいえば神経質)、飼育難度が少々高めと従来いわれてきた。トイ・プードルやミニチュア・ダックスもスタンダードタイプよりやや気性が荒いとされるように、ルックスを売りにする小型のトイ・ドッグの傾向でもある。
 もちろん、気質を把握し、生涯つきあう自信と能力を自分に認めるならば、「ガラスケース越しに目が合って──」という〝衝動飼い〟であっても何ら支障はないが……。人間の一目惚れはその後ウマが合わずに離婚しようと勝手だけれど、イヌの場合は最低でも適切な里親を確保するところまで、惚れた人間の側できちんと責任を果たして欲しいものだニャ~。


ラブラドル・レトリーバー

 盲導犬としての活躍が知れわたり、大型犬の一番人気を張るラブ。現在各国で専ら盲導犬を引き受けている犬種だが、その理由は何かご存知だろうか? パトロンをリードする体躯とそれに似つかわしくない温厚・従順な気質もさることながら、実は飼い主に執着しないわりとドライでサバサバした性格がいちばん大きいといわれる。確かに、都合四度以上家を変わるわけで、その度に激しく落ちこんでいたら寿命を縮めること請け合いだ。
 盲導犬の〝お仕事〟は他のイヌの散歩とはわけが違う。盲導犬になるまでの厳しい訓練もつとに知られているが(人にとっても本犬にとっても事故のもとだから、これはやむをえない)、その際に必要なのはマニュアルに忠実であることだ。飼い主に気を回し、行動を先読みするような頭のよすぎるタイプの子は逆に向かず、パピー・ウォーカーのもとへ返されるケースもある。(補足)

アレックス

スニッター

ビーグル

 スヌーピーのモデルとなったビーグルは、ウサギ狩りの目的で作られたハウンド系の犬種だが、イヌにしては足が遅いためむしろセターの役割をしていた。
 愛嬌のある家庭犬として街中でよく見かけるビーグルだが、もう一つ、動物実験用に最も多く供用されている犬種という別の顔がある。数十頭の集団で狩りを行わせていたため、多頭飼育に向くというのがビーグル採用の理由だが、その後さらに系統の確立による同質性の高さやデータの蓄積によって実験用途犬の〝標準仕様〟となり、研究機関や製薬メーカーなどで大量に飼育・利用されてきた。
 医学の歴史を否定することは無意味だが、今日ではコンピュータ・シミュレーションや培養組織等を用いた代替手法も確立されており、科学が血生臭さを脱ぎ捨ててそうしたクールでスマートなスタイルに変身できるかどうか、万物の霊長を自称するヒトの知性と品位が問われるところだニャ~。


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