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ミオ: +
千里: -
ジュディ: --

「ジュディはともかく、千里よりゃミオの方が断然カワイイだろっ!」
「む~……私を引き合いに出すなんて卑怯よ、朋也!」
 まあ確かに千里は、ジュディに対して親バカを発揮しても、自分の方がミオよりかわいいなんてことは絶対言わないタイプではある。ちょっと反則だったかな?
「朋也とジュディじゃあんまり差がありすぎて比較の対象にならないくらいジュディの方がカワイイけど、当たり前すぎて面白くもないわっ!」
 ……。そろそろ潮時と見たのか、千里は傍らに置いたカバンを手に取った。
「さあ、ジュディ! あんな変態ネコマニア少年はほっといて、さっさとお家へ入ろ♪」
「誰が変態かっ!」
 朋也の抗議も無視し、千里は家に向かって歩き出した。ジュディは「もっと遊びたいのに」という顔で朋也たちの方を振り返りつつも、千里の後を追う。
 二人の姿が門の向こうに消えると、朋也は「俺たちも帰ろうか」と、ミオを振り返った。と……一緒に見送っていたミオは、いつもの優美な屈伸運動をした後、我が家の方角ではなく、今度は公園の反対側に向かって歩き出した。
「あ、あれれ? また出かけるの?(T_T)」
 どうやら千里の指摘したとおり、朋也を出迎えたわけではなく、通りすがりに挨拶してやったにすぎなかったらしい。
「晩飯までには帰ってこいよ~! 車には十分気をつけるんだぞ~~! ガラの悪いオスネコと付き合っちゃ駄目だからな~~~!!」
 ミオの姿が小さくなり、スラリとした尻尾の先が茂みの向こうに隠れるまで、朋也は見送らずにはいられなかった。そして、彼女が消えた後、手を下ろして深いため息を吐いた。
「はぁ……」


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