訊きたいことなんて両手の指でも収まらないけど──もちろん、ミオの消息も訊かなくちゃいけないし──まずはこの世界の概観だけでもつかんでおこうと朋也は考えた。
「まずはこの世界について、だね。君たちはエデンって呼んでるのかな? 俺たち、ネコを捜してたら、いつのまにかここに送り込まれちゃって、来るつもりなんかなかったんだよ。そしたら、ヘンな怪物には襲われるわ、君みたいな妖精は出てくるわ……。ここが地球じゃないのはわかるけど、もっと情報が欲しいな。一体、どこら辺にあるんだ?」
もっとも、星座なり座標なりを聞いても理解する自信は朋也にはなかったが。
「ちなみに、モノスフィアっていうのは私たちの星、地球のことを指すのよね?」
千里が補足する。
マーヤは小難しげな顔をしながら、首を捻った。
「ううんとぉ……どうやって、説明したらいいのかなぁ~? そういう意味でいうとねぇ、ここは地球なんだよぉ~」
「ええっ!?」
2人して驚きの声を上げる。
「地球でわかんなきゃあ、いわゆる太陽系の第3惑星ねぇ~」
なんかバカにされてる気がしないでもない。
「じゃあ、どっかの国の辺境とかにあるのかい? まさか日本じゃないんだろ??」
UFOやらワープ装置というのも非現実的かもしれないが、地球上に妖精やら化けモノが出没する場所が存在するってのも、それはそれで突拍子もない話だ。時間もいきなり跳んだし。
マーヤは腕組みをしながらうなった。
「そうじゃなくってねぇ~……あなたたちにエデンの説明をするとなると、やっぱりこの世界が2つに割れたいきさつから話さないと駄目だよねぇ~。ちょぉーっと長くなっちゃうけど、あたしが特別に講義したげるからぁ、エデンのこと知りたいんだったらしっかり聴いててちょーだいねぇ~」
以下は、彼女が説明してくれた、朋也たちの世界が成立するに至った顛末だ──