訊きたいことなんて山ほどあってどれから訊いていいものやら……。朋也はそこで悪戯心を発揮したい誘惑に駆られた。しかめつらしく腕組みをして答える。
「では、マーヤ。まず君のスリーサイズを伺おうか?」
「……」
たぶん20センチもないだろうけど──と思っていると、マーヤは空中をそのまま数歩分バックした。朋也のことを白い目でじと~っと見ている。さっきのようにウケた様子は全然なかった。
「そんなもん聞いてどうするわけ?」
千里の軽蔑のこもった視線が痛い……。
「ワウッ(`´)」
なんでお前まで怒ってるの?
すっかりセクハラオヤジ扱いである。ちょっとお茶目なところをアピールしようとしただけなのに。しょうがないので白旗を振る。
「スミマセン、聞かなかったことにしてください」
千里が代打で質問を出す。
「まずはこの世界について教えてくれる? 私たち、朋也の家のネコを捜してたら、いつのまにかここに送り込まれちゃって、もうわけがわからないのよ。変なバケモノまで出てくるし……。あなたたちが何故イヌやネコたちを連れてきてるのか──避難っていうのはどういう意味なのかも知っておきたいわ。そもそもここは一体どこなの? ちなみに、さっき言ってたモノスフィアっていうのは私たちの星、地球のことを指すのよね?」
マーヤは小難しげな顔をしながら、首をひねった。
「ううんとぉ……どうやって、説明したらいいのかなぁ~? そういう意味でいうとねぇ、ここは地球なんだよぉ~」
「ええっ!?」
2人して驚きの声を上げる。
「地球でわかんなきゃあ、いわゆる太陽系の第3惑星ねぇ~」
なんかバカにされてる気がしないでもない。
「じゃあ、どっかの国の辺境とかにあるのかい? まさか日本じゃないんだろ??」
UFOやらワープ装置というのも非現実的かもしれないが、地球上に妖精やら化けモノが出没する場所が存在するってのも、それはそれで突拍子もない話だ。時間もいきなり跳んだし。
マーヤは腕組みをしながら唸った。
「そうじゃなくってねぇ~……あなたたちにエデンの説明をするとなると、やっぱりこの世界が2つに割れたいきさつから話さないと駄目だよねぇ~。ちょぉーっと長くなっちゃうけど、あたしが特別に講義したげるからぁ、エデンのこと知りたいんだったらしっかり聴いててちょーだいねぇ~」
以下は、彼女が説明してくれた、朋也たちの世界が成立するに至った顛末だ──