「いいのかい? だったら、ぜひお願いするよ!」
朋也は考えたりメンバーに相談したりする前に即答してしまった。
まあ、確かに彼女は素性が知れないし、いきなり腕試しとか言って闘いを挑んでもきた。ゲドとその一味についても〝たぶん〟知ってると言う。普通だったら、仲間に加えたものかどうか慎重に検討するかもな……。
でも、朋也はミャウがいてくれることで、何となくミオともすぐに会えるような……あるいは、彼女がすでに近くにいるような気になった。ジュディとはちょっと反りが合わない感じだが、なんとかなるだろう。
「その代わり、あたいの仕事のほうも手伝って欲しいんだけど……。あんたたちの腕試しをさせてもらったのも、そういう事情があったのよ」
「お前、仲間に入れてやるって言ってるのに図々しいぞ!」
ジュディを制して訊く。
「仕事? どんなことだい?」
「あたいの方はまだ急がニャイし、そっちの方が急を要する話でしょ? 用件が済んだら教えたげるわ」
まさか交換条件を出してくるとは思わなかった。おまけに、自分に都合のいいことしか口にしてないし……。どんな仕事か内容もわからないのに契約書にサインすることは普通誰もしないだろう。
だが、朋也はやっぱり快く引き受けてしまった。
「了解だ。申し遅れたけど、俺は──」
自己紹介しようとして、はたと思い当たる。マーヤもフィルも、ミャウも、名前のほうしか聞いてないな。この世界じゃ姓にあたるものなんてないのかもしれない。というわけで、省略することにする。
「朋也だ。一応種族は名乗ったほうがいいのかな? ニンゲン族だよ。そっちのイヌ族の子がジュディ」
「バカイヌ、よろしくニャ~♪」
「フンッ(`´)」
まだ臍を曲げてるな。
「で、こっちがクレメインの森の精フィルと神獣の妖精マーヤだ」
「ふ~ん……神獣キマイラの遣いが一緒にいるのねぇ……」
なんかいまミャウの目がアヤしく光った気がしたぞ。マーヤも気づいたようで、少し震え気味の声で言う。
「あ、あのぉ~、あたし美味しくないからぁ、そんな物欲しそうな目で見ないでねぇ~」
いや、さすがに獲って食いはせんと思うが。
「じゃ、早速出発しましょ。ビスタに行けばそいつらの素性もはっきりするわ。Let's go!」
ミャウは気取って人差し指を突き出しポーズをとってみせた。