「う~ん、どうしよっか? 君が千里を助けるのを手伝ってくれるなら、俺たちとしてはもちろんありがたいんだけど……」
朋也はしばし考え込んだ。
素性も知れないし、いきなり腕試しとか言って闘いを挑んでくるなんてご挨拶もいいところだ。だがもし、ゲドとその一味に心当たりがあるというミャウの言葉が本当なら、彼女に同行してもらえるに越したことはない。それに、ミャウがいてくれればミオにも直に会えるのではないか……彼には何となくそんな気がした。
皆はどう思うだろうか? 反応を見ようと振り向くと、ジュディは別にどうでもいいと言わんばかりにムスッとした顔でそっぽを向いている。
「あたしは朋也に任せるわよぉ~」
マーヤが委任すると、フィルもうなずいた。
「ねえ、ミャウ。君はどうして俺たちについてきたいんだい? 他人のトラブルに首を突っ込んで危険な目に遭わないとも限らないのに」
ミャウは口を尖らせて言った。
「ヤバイと思ったら始めから申し出たりニャンかしニャイわよ。あたいのことがそんニャに信用できニャイ?」
「いや、もちろんそういうわけじゃないけど……」
「じゃあ、こういうのはどう? あんたを助けたげる代わりに、あたいの仕事のほうもあんたに手伝ってもらうってのは? ま、実を言うと、あんたたちの腕試しをさせてもらったのも、そういう事情があったのよ」
「なんだ、結局そういうことかよ」
ジュディを制して訊く。
「仕事? どんなことだい?」
「あたいの方はまだ急がニャイし、そっちの方が急を要する話でしょ? 用件が済んだら教えたげるわ」
肝腎の仕事の中味がわからないなんてずいぶん一方的な取引だな……。だが、彼女が自分に信用して欲しがっているのはわかったし、ここで断ってさよならしたいとは朋也も思わなかった。
仲間たちに再度尋ねるのも何だし、彼はミャウの提案を引き受けることにした。
「了解だ。申し遅れたけど、俺は──」
自己紹介しようとして、はたと思い当たる。マーヤもフィルも、ミャウも、名前のほうしか聞いてないな。この世界じゃ姓にあたるものなんてないのかもしれない。というわけで、省略することにする。
「朋也だ。一応種族は名乗ったほうがいいのかな? ニンゲン族だよ。そっちのイヌ族の子がジュディ」
「バカイヌ、よろしくニャ~♪」
「フンッ(`´)」
まだ臍を曲げてるな。
「で、こっちがクレメインの森の精フィルと神獣の妖精マーヤだ」
「ふ~ん……神獣キマイラの遣いが一緒にいるのねぇ……」
なんかいまミャウの目がアヤしく光った気がしたぞ。マーヤも気づいたようで、少し震え気味の声で言う。
「あ、あのぉ~、あたし美味しくないからぁ、そんな物欲しそうな目で見ないでねぇ~」
いや、さすがに獲って食いはせんと思うが。
「じゃ、早速出発しましょ。ビスタに行けばそいつらの素性もはっきりするわ。Let's go!」
ミャウは気取って人差し指を突き出しポーズをとってみせた。