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ミオ: -
千里: +
ジュディ: -
マーヤ: -
フィル: -

「やだってば! 俺はニンゲンのままでいいよ!」
「聞き分けのニャイこと言わニャイの! そのままビスタに入るのは無理だって言ってるでしょ!?」
 ミャウが顔をしかめる。それでもなお朋也は抵抗を試みた。
「でも、変装なんて無理だよ。遅かれ早かれ正体が割れるに決まってると思うけど……」
「やってみニャイうちからそんニャこと言えニャイわよ?」
「そうだよ。朋也はご主人サマがどうなってもいいのかよ!?」
 それを持ち出されると弱いな……。
「わかったよ、もう勝手にしてくれ!」
 朋也が1人で拗ねてしまったため、残る3人は肩を寄せ合い彼の種族のデザインを協議し始めた。しばらくしてミャウが声をかける。
「あのさぁ、最初に1つ断っておくと、今のあんたは確かにヒト族のスキルが残ってるけど、ネコやらイヌやらいろんニャ種族のが混じってるから、詰まるところ得体の知れニャイ種族ニャのよね~」
 えらい言われようだなあ……。スキルが定まらないのはヒト族の守護神獣がいなくなったせいで、俺の責任じゃないのに。
「だからねぇ、この際種族不明ってことにしちゃおうと思うんだけどぉ~♪」
 3人の考えた作戦というのはこうだ。実はエデンには、守護神獣がおらず、妖精たちも把握していない謎の種族が、北方の雪山や南の熱帯雨林などに棲息している可能性があるらしい。彼らは前駆形態ながら他の種族の成熟形態に近い能力を備えているという噂もあり、住民の間でときたま目撃談が持ち上がるとか……。  つまり、朋也の役柄は、マーヤが捕獲した未登録の原住種族の1頭というわけだった。
「じゃあ、変装しなくてもいいのかな?」
 ホッと胸をなで下ろす朋也だったが、ミャウがきっぱり首を横に振った。
「駄目よ。ビスタには移民がたくさん来てるって言ったでしょ? ま、変装のほうはあたいたちが適当にやるから任せニャさい」
 ミャウが1人で街へ入り、雑貨店に必要なものを探しにいく。
 しばらくして戻ってきた彼女が入手してきたのは──黒のウィッグ少々にジェルウォーターのハードのスプレー。こんなもんがエデンにあるとはなあ。優等生(?)の朋也は使ったこともなかった。千里も持ってなどいないだろう。まあ、エデンにも毛(髪もしくは体毛)が薄いのを気にしていたり、スタイルにこだわる市民の需要が結構あったりするのかもしれない。
 これを使って本来の耳を隠し、その上にガチガチに固めた髪でできた贋の耳を作る。
「はい、出来上がり♪ こんニャもんでどうかニャ?」
「駄目駄目! これじゃまるでネコじゃんかよ」
 そう言って今度はジュディがミャウの手からスプレーを引ったくり、耳の先を曲げた。
「それじゃイヌと同じでしょーが!?」
 2人で奪い合いを始める。何でもいいからとっととやってくれ……。
「じゃあ、こういうのはどうぉ? 右耳はネコで左耳はイヌってのはぁ? 新種らしくっていいんじゃないかしらぁ~♪」
 こうして朋也の種族のデザインは妥協の産物となった。動物の基本は左右相称だと思うが……。更にマーヤの発案で触角も付けられる。3人でひとの頭をよってたかって玩具にしてるなあ。
「キャハハハッ♪ お腹痛いぃ~(>o<)」
 マーヤが腹を抱えて笑いながら、コンパクトを朋也に差し出す。鏡に映った自分の顔を見ながら、彼はため息を吐いた。
 はあ、一体何が悲しくてこんな格好しなきゃならんのやら……。オーラの色は様々な色が混ぜ合わさっており、謎の種族といわれれば確かにその通りかもしれないが、朋也の心は限りなく不安になった。
「ヘンなの」
 顔をしかめてジュディが本音を口にする。千里のためだから我慢してんのに……。
「服はどうすんの?」
「別にそのままでいいわよ。それとも脱ぐ?」
「遠慮する」
 脱ぐのはやだったけど、学ラン着た未知の生物が一体どこにいるんやら……。
「それじゃあ、ビスタの街にお披露目に行きましょうかぁ~♪」
「1人で残りたくなってきたよ」
 こうしてネコ族1名、イヌ族1名、妖精1名、未知の生物1名から成る一行はビスタの街の門をくぐることになった──



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