「そ、そうだな。じゃあ、1ついただくとしようか……」
恐怖感が先に立ったとはいえ、いろいろお願いしている身でもあるし、せっかく作ってくれたのだから好意を無駄にしちゃ悪いと、朋也はそのビスケット状の〝ビスケット〟を一思いに口に入れた。
……。まあ、恐怖を味わうほどじゃなかったが、これはなんというか、ほとんど粉だ……。味がない。もしかして塩がまったく入ってなかったり……。ところどころ野菜の切れ端や固まりが入っている。野菜ビスケットってのは普通ミキサーとか使うんじゃないのかなあ? 村で評判といっても所詮ウサギのビスケットか……。朋也はむせ返りそうになって、あわてて水筒の水を口にした。液体なしじゃ食うのは不可能だぞ、こりゃ。
クルルは朋也が目をしばたたかせながら呑み込む様子をじっと凝視していた。おそるおそる尋ねる。
「どお? 美味しい?」