今まで見せたことのない熱のこもった視線に、朋也は胸を躍らせた。ミャウは自分に何かを期待している。けど、何を? もちろん、ミオには逢いたいに決まってる。でも、同じネコ族の女の子である彼女の前で、そんなにはっきり別の子に逢いたいなんて言ったら気を悪くするかもな。かといって、逢いたくないなんて言おうものなら、ミオのやつが激怒するだろうし……。
「まあ、それは彼女次第かな? 俺は別にどっちでもいいよ。彼女が会いたいって言ってくれるなら会ってもいいし……」
結局考えた末に(といっても考えはまとまらなかったが)、彼の返事は中途半端な折衷案に落ち着いた。ミャウの反応を恐る恐るうかがう。彼女は……ムスッとして反対側を向いたきり、一言も口をきかなくなった。
もしかしてひどく怒ってる? というより、もう呆れて完全にシカトされてる? 俺はなんて答えればよかったんだろ? 教えてくれよ、ミオ~(T_T)
なんとか彼女の機嫌を取り繕おうと話のネタを探してみる。
「そ、それにしても、困ったもんだな。せめて檻に入れられた理由だけでも知りたいもんだけど……。あの落とし穴、まるで俺たちが村にやってくるのを承知で狙って掘ったみたいじゃない? ね、え?」
「……きっとバカイヌがどっかでドジ踏んだのね」
答えてはくれたが、朋也の顔は見ようとしなかった。もう修復不能かも……。
「何でボクの所為なんだよっ!」
壁の向こうからジュディが抗議の声を上げる。聞こえてたらしい。
「ああ、そういや2人とも隣にいたんだっけ。おおい、そっちは大丈夫か?」
「もうぉ、あたしたちのこと忘れないでよねぇ~」
「ごめんごめん」
「ま、それは冗談として、誰かがあたいたちを陥れるために嘘の情報を事前に村にタレ込んだと考えるのが自然でしょうね……」
「でも、一体誰が? ブブとジョーはそんな真似するはずないし、ビスタであった中でそんなにアヤシイ連中がいたとは思えないけど。あの3人組のイヌ族が、俺たちのこと嗅ぎつけてユフラファに先回りしてたとか?」
「もっとアヤシイやつが若干1名いたと思うけどね……。まあ、今はそんニャことよりここから脱出することを考えましょ。朋也、あんた何か細い針金みたいニャもの持ってニャイ?」