「………助けてぇ~~! 抜けられなくなっちゃったよぉ~~」
ウエストまでは格子の間を通り抜けたが、どうやらヒップがつかえたようだ。腕の位置が悪くて逆進もできず、二進も三進もいかなくなった彼女は、情けない声で助けを求めた。
「やれやれ、何やってんだか……。ほら!」
朋也は背中で閉じ合わされた彼女の羽をつまんで手前に引っ張ろうとした。
「きゃあぁ~~!! 痛い痛いぃ~っ! やめてぇー、そんな強く引っ張ったら羽がもげちゃうよぉ~!」
「その羽って痛いのか?」
「当たり前よぉー! 神経が通ってるんだからぁー!」
なるほど……。さて、じゃあどうしたものか? 腕や足を引っ張ったって同じだろうし……。
「ううん……じゃあ、引いて駄目なら──」
少し考えた末、羽がひっかからないように支えつつ、少し身体を斜めに傾けてお尻をそっと押してやる。
「ひゃあ~っ!」
マーヤの身体はスポンという感じにそのまま向こう側へ落ちた。
「はひぃ~、死ぬかと思ったぁ~~」
ちょっと大げさな気もしたが……。でも、あのままつかえて抜けなかったら確かに困ったことになってたな。ウサギたちだって対処のしようがなかったかも。
「鍵は外側から開きそうかい?」
「うん、大丈夫ぅ♪」
言いながら扉を開ける。
続いて2人は隣の牢に閉じ込められていたジュディとミャウの救出にかかった。
「ニャンだかえらく騒がしかったけど、何やってたの?」
「ああ……まあちょっと、マーヤが一か八かの大脱走を試みようとして、名誉の負傷を、な」
扉越しのミャウの質問に苦笑しながら答える。
「もうぉ! 何が名誉の負傷よぉ~」
「ハハ。今出してやるから、ちょっと待ってくれよ」
部屋を出ながら、ミャウがうんざりした調子で訴えた。
「まったくバカイヌったら、鳴くわ吠えるわで喧しいったらありゃしニャイ! もう二度と相部屋はゴメンだニャ!」
「それはこっちの台詞だよ!」
そういや、マーヤと2人で喋ってる間、「アオオ~ン!」とか「ウルサイッ」とか聞こえてたな……。
「ともかく、グズグズしないでご主人サマを助けに行こう!」
合流した4人がまさに地下牢を後にしようとしたときだった。誰かが階段を降りてくる音が聞こえてきた。なんてタイミングの悪さだ。形だけでも檻に戻って知らんぷりを決め込んだほうがいいだろうか!? それとも──