「ううん……怒ってないって言えば嘘になるかな……」
正直に言えば、トラのおかげでミャウの正体が判明したときは、どれほど心配かけたかわかってるのか!? と怒鳴ってやりたいくらいの気持ちもあった。だが、彼が去った後にいつのまにかミオの姿が見えなくなり、村の隅々まで捜し回っているうちに次第に不安が募り、もう彼女を強く責める気は失せていた。
ミオは後悔ともあきらめともつかない深いため息を吐いた。
「……ま、仕方ないか。自業自得だもんね……」
朋也としては、今の台詞だけでミオが反省してくれてるのは十分わかったので、彼女の隣の草の上に腰を下ろすと、このうえ問い詰めたりせずにさりげなく話しかけた。
「こっちの世界にはいつ頃やってきたんだ?」
「フミュ~……20日前くらい、かニャ?」
「20日も経つのか!? やっぱりマーヤの言ってたことは本当だったんだな……。俺たちがエデンに来たのは、ミオが姿を消したその日の夜なのに」
「そんニャにすぐあたいの後を追っかけてきたの?」
ちょっと意外そうに訊く。
「うん……ちょっと胸騒ぎがしたんでね。千里とジュディも一緒にミオのこと捜すの手伝ってくれたんだよ? おかげで事件に巻き込んじゃったけど……。2人には感謝しないとな」
「ニャンであたいが感謝しニャきゃいけニャイのよ~。別にあたいが捜してくれって頼んだわけじゃニャイのにぃ……」
口を尖らせる。
「アハハ、そういうところは変身前のまんまだな」
よかった……。赤の他人を装ってミャウを名乗っていた彼女と、本名に戻ったところでお互いに気まずさを感じることなく話を交わすことができるのか、内心不安だっただけに、自然に会話が弾んで朋也は胸をなで下ろした。
「ねぇ、あたいがミオだってこと、いつ頃からわかってた?」