「どうしてだい? もちろん、怒ってなんかないさ。元気な顔を見れてホッとしてるよ。ミオはどこかできっと生きてるって信じてはいたけど……実際に無事だってわかってるのとそうでないのとじゃ大違いだからな」
それは嘘偽りない朋也の気持ちだった。エデンに来てから様々なトラブルに見舞われたけど、ミオに再会できて、これまでの苦労も消し飛んだ。ともかく生きていてくれたのだから、彼女が自分の名をミャウと偽ってたことくらい、いくらでも水に流して構わない。
「ホントに?」
「ああ、ホントさ」
「……よかった」
ミオは朋也にはっきり聞き取れるほど大きく安堵のため息を吐いた。もしかして、俺に怒られるんじゃないかとビクビクしてたのかな?
ミオの隣の草の上に腰を降ろす。澄みきったエデンの空気のおかげで、星々はまぶしいほどの月明かりにも負けずに色とりどりの光を2人の頭上に降り注いでいた。
「こっちの世界にはいつ頃やってきたんだ?」
「フミュ~……20日前くらい、かニャ?」
「20日も経つのか!? やっぱりマーヤの言ってたことは本当だったんだな……。俺たちがエデンに来たのは、ミオが姿を消したその日の夜なのに」
「そんニャにすぐあたいの後を追っかけてきたの?」
ちょっと意外そうに訊く。
「うん……ちょっと胸騒ぎがしたんでね。千里とジュディも一緒にミオのこと捜すの手伝ってくれたんだよ? おかげで事件に巻き込んじゃったけど……。2人には感謝しないとな」
「ニャンであたいが感謝しニャきゃいけニャイのよ~。別にあたいが捜してくれって頼んだわけじゃニャイのにぃ……」
口を尖らせる。
「アハハ、そういうところは変身前のまんまだな」
よかった……。赤の他人を装ってミャウを名乗っていた彼女と、本名に戻ったところでお互いに気まずさを感じることなく話を交わすことができるのか、内心不安だっただけに、自然に会話が弾んで朋也は胸をなで下ろした。
「ねぇ、あたいがミオだってこと、いつ頃からわかってた?」