トラとゲドが去った後、いつのまにか〝ミャウ〟=ミオの姿が見えなくなっていた。もしかして、自分に怒られるのが嫌でまた行方をくらましてしまったのではないかと、不安に駆られた朋也は表に出て彼女を捜し回った。まだ〝ミオ〟とは一言も言葉を交わしてないのに……。
中央広場の前に来て、噴水の縁にしょんぼりと腰かけてるジュディを見かける。そういえば、彼女も家の中には入ってこなかったな。さっきからずっとここに座ってたのか? まあ、トラにこてんぱんにやられたのがショックだったんだろうが。
そのジュディが朋也に気づいて顔を上げる。
「ミオを捜してるの?」
「ん? ああ……」
「よいしょっと」
ジュディは腕を振り上げると跳ね起きた。左右を見て鼻をヒクヒクさせる。鼻の調子はもう戻ったみたいだな。
「近くにはいないみたいだな。どれ、ボクも一緒に捜してやるよ」
2人で並んで村の外れに向かう。途中、彼女は朋也の表情をうかがうように尋ねた。
「……ねえ、朋也。ボクがミオのこと黙ってたこと、怒ってる?」