「ううん……別に1種類くらい揃わなくったっていいんじゃない?」
わざわざ材料が足りないくらいで危険な場所へ足を運ぶのもなあ。どのみちクルルのビスケットなんだし──とは口に出さなかったけど。
「ム~、あれがないと究極のビスケットが完成しないのにぃ。いいよ、もう! 朋也が来てくれないんならジュディに頼むもんっ!(`´)」
クルルはそう言い残すと、プイと踵を返して行ってしまった。
その日の農作業はマーヤと朋也の2人きりだったため(ミオは仕事をすっぽかしてどっかへ行方をくらました)、ちっとも捗らなかった。
結局、島に渡ったクルルとジュディは首尾よくモンスターを倒し、薬草とハーブ、それに鉱石のオパールを両手いっぱいに抱えて昼過ぎには戻ってきた。
オルドロイ出発を翌日に控えたその日の晩御飯は、薬草がどっちゃり入った特製スープだった。温製青汁という表現の方が的確かも。朋也は椀の1/3までで降参、ミオは匂いを嗅いだだけで席にも着かず退散した。一行の中で残さず平らげたのはクルルとジュディだけ。ジュディはおかわりまでした。千里と朋也の教育の差が明確に現れたといえるかもしれない。
明日の主戦力はお前だ。頼んだぞ、ジュディ──