「よし、じゃあ、俺も一緒に行こう!」
朋也がそう言うと、ジュディは口を尖らせた。
「ええ? ボク1人で十分なのに」
「まあ、そう言うなよ。成果を試したいのは俺だって同じだぜ?」
正直に言えば、ジュディ1人に任せるのは心配だったこともあるが。
こうして早速2人は件のモンスターを退治しに湖の島へ赴くことになった。クルルに船着場まで案内してもらう。
目の前にある手漕ぎのボート1艘が島に行く唯一の手段だった。村人も島にはたまに薬草を採りに行くくらいなので、小船が1艘あれば事足りていたのだ。危険なモンスターが出没するようになってからは、島に赴く機会はめっきり減ってしまったそうだが。
島までは20分ほどで着く距離だ。ジュディが自分がオールを握ると言い張ったので朋也は彼女に任せたが、同じ位置をグルグル回って一向に進まないため、結局彼が櫂を持つことになった。
ジュディのやつ、何か目新しいことを始めようとすると、どういうわけか不器用なとこがあるんだよなあ……。剣を持たせればそれなりの実力を発揮できるのに。時間に余裕さえあれば、集中力をつけるためにずっと操船の練習でもさせたいところだ。
ほどなく島に到着する。島自体1周するのに1時間もかからない小さなものだった。岸辺には草が高く生い茂っていて、見通しはよくない。件のハーブは島の中央付近に生えているとクルルには聞いていた。2人は用心を怠らずに、草を掻き分けて岸と反対側に向かって進んでいった。
やがて草叢が途切れ、島の真ん中にポツリと1本だけある木立が見えてきた。木の根元にはハーブが群生している。
「あっ、あれじゃないかな?」
2人でジュディの指差すほうに歩いていく。そのときだった。身の毛もよだつ奇怪な鳴き声が辺りに響き渡ったのは──