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千里: +
マーヤ: +
クルル: ++

 クルルの言葉を信じて、朋也はそっと彼女を解放した。
 彼女は朋也のほうに向き直ると、顔を見上げてにっこり微笑んだ。普段から赤い目がさらに真っ赤になっていたけど。
「クルル、捨てないよ。どんなことがあっても挫けないよ。でも……今だけちょっと胸を貸してね……」
 声を詰まらせながらそこまで言うと、朋也の胸にしがみついて大声を上げて泣き始める。
「わああああっ!」
 今は思う存分泣かせてやろう。ほつれた髪を優しく撫でてやりながら、朋也は思った。
 彼女の痛み、彼女の苦しみをほんの少しでも引き受けてあげられたらいいのに。もう二度とこんな悲劇が起こらないようにしなくちゃ……そして、彼女の信じる世界が1日も早く実現するよう、出来る限りのことを尽くさなきゃな。この子のためにも──



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