話を聞け、か……。自分たちにつきまとう目的は教えてくれないのに、ずいぶん一方的だな。
「俺としては、君がなぜ俺たちを付け狙うのか、まずそっちの方が知りたいんだけどな?」
「そうか……」
特に気を悪くしたようには見えなかったが、さっきまでの、これまで見せなかった幾分打ち解けた表情は、いつもの固いそれに戻ってしまった。
「邪魔したな。夜が明ければ、私はまたお前たちの敵だ」
「もう今回の事件は片が付いたんだろ!? それに、さっき俺たちの行動を妨害する理由はなくなったって言ったじゃんかよ!?」
朋也はうんざりした声で非難したが、リルケは一言言い放つのみだった。
「……明日になればわかる」
それだけ言い残すと、彼女はフワリと舞い上がった。あっという間に山の斜面を下り、遠ざかっていく。
飛翔する彼女の黒い影が夜の闇に溶け込むのを、朋也は呆然と見送った──