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ミオ: --
千里: --
ジュディ: ---
マーヤ: -
クルル: ---

 放置すれば血を見る事態に発展しかねない気がしたが、この2人の間に割って入る勇気は出なかった。しょうがないので、固唾を飲んで成り行きを見守ることにする。
「ねえ、朋也! 2人を早く仲直りさせてよ!」
 クルルが袖を引っ張って朋也にせがんだ。
「いや、触らぬ神に何とやらで、ここは下手に手を出さないほうが……」
「ええっ!? 朋也が来るの待ってたのに……。じゃあ、もう頼まないからいいよっ!」
 業を煮やしたクルルが仲裁に入ろうと前に出たそのときだった。
「ねえ、2人ともいい加減に──」
「アメジスト!!」
「サファイア!!」
 2人が同時に叫ぶ。彼女たちの放った攻撃魔法は、間にいたクルルにもろに直撃しかけた。
「危ないっ!!」
 朋也はとっさにクルルをかばって押し倒した。2つの魔法は過たず朋也に襲いかかる。
「うぎゃ~~~~っ!!」
 寝起きの魔法ダメージはこたえる……。2人ともひょっとして身内なのにセーブもしてないのか?
 朋也はクルルの上に被さった上半身を起こそうと腕をついた。まあともかく、彼女が無事でよかった──
 と思って顔を見ると、なぜかクルルは悲鳴をあげながら朋也を押しのけようとした。
「きゃあああっ!! どこ触ってんのよ、もう!」
 え!? あ……道理で柔らかいと思ったら……。
「朋也~!」
「と・も・やっ!」
 彼はとっさに左右を見回したが、身を隠す場所はなかった。
「アメジスト!!」
「トリアーデ!!」
 ちなみにトリアーデはルビー、エメラルド、サファイアのレベルⅠを掛け合わせた3属性の魔法で、単体魔法としては最も高い攻撃力を持つ……。
「はうあっっ!!」
 朋也は次第に意識が遠くなりかけた。
「ミオちゃん、朋也が反省するまで、ひとまず休戦にしましょうか?」
「そうね」
 彼が最後に目にしたのは、頭上で交わされた好敵手同士の握手だった。まあ、一時的にでも仲直りできたんならよしとするか。ガクッ(_ _)m



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