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ミオ: -
千里: -
クルル: ++
フィル: -

 朋也は結局ミオと千里のを1個ずつ、クルルのを2個いただくことにした。おにぎりの完成度の観点で厳正なる評価を下せば、彼女が不利なのは否めなかったが、それでも彼女の〝作品〟は3人の中でいちばん手間ひまがかかっているのがひしひしと伝わってくる。ていうか、米の1粒1粒が自己主張してるみたいだ……。本人も自分の分を口に運ぶのはそっちのけで、息まで詰めて朋也の手元に注目してるし。そうなると、やっぱりかわいそうな気がしてきて、やっぱり他の2人には譲ってもらうことにしたのだった。
 ザワークラウトのおにぎりも食べてみると案外悪くない。この間注意した反動で味付けがちょっと濃い目だったけど。
「みんなには悪いけど……」
 2周目で朋也が3人の視線を浴びつつクルルのピクルスを手に取ると、千里は肩をすくめてまあしょうがないという顔をしたが、ミオの膨れっ面は収まらなかった。2人の分を担当したフィルがせっせと持ち上げてフォローに回ってくれたけど(彼女の事細かな寸評は、どっちかといいうと化学組成の分析みたいだった……)。
 食事が済んで一服しているとき、朋也はふと思い出した。そういえば、フィルは妖精の隠れ里のことは知ってるのかな? エルロンの森の精には訊いても口チャックだから無駄だってブブは言ってたけど、彼女なら教えてくれるかも。そう思った朋也は試しに尋ねてみた。
「ねえ、フィル。無理に答えてくれなくていいんだけど、隠れ里の噂があるの、知ってる?」
 少し間を置いてから答える。
「ごめんなさい、彼女たちとの誓約でお答えできないことになっているもので……」
 ……。それって思いきりバラシてるじゃん。
「他でもない朋也さんだからお教えするんですけどね。一応、他の住民の皆さんには内密にということで」
「ふみゅ、情報屋ニャら高く買ってくれるかもニャ~♪」
 ミオがニヤリとして頭の中で算盤を弾く。
「こら、ミオ! もちろん誰にも言わないさ。ただ、ちょっとマーヤのことが気になったもんでね……」
「彼女のことは、注意を払っておきます。エルロンの精にも伝えておきますわ」
 フィルがそう言ってくれるなら安心か。何せ2人は親友の間柄なんだもんな。
 一行はそれから日暮れまで歩き通し、行程の3分の2を過ぎたポイントで夜を明かすことになった。
 歩き尽くめで疲れていたため、みなあっという間に眠りに就く。千里は、自分が火の番をすると言い出して見張りについた。ジュディのことを考えるとなかなか寝付かれないのだろう。朋也は適当な時間に交代するから起こすように言うと、横になった──



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