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 ジュディは肩で荒い息をしながらその場に立ち尽くした。背中越しに声をかける。
「すまん、ジュディ。来るのが遅れて……」
 彼女は振り返って朋也の顔をじっと見つめた。円らな瞳がたちまち潤み始める。
「う……うわああんっ!!」
 ジュディはいきなり朋也に抱きつくと、大声を上げて泣き始めた。
「ボク……ボク……ホントに、怖かったよ……うえ……えぐ……」
「よしよし……もう大丈夫だから安心しろ。もう二度と1人で怖い目に遭わせたりしないから。な?」
 震える肩をそっとなでさすりながら、優しく声をかけてやる。
 そりゃ、あんなホラー映画じみた化け物に生きながら脳を吸われそうになったんだから、いくら男顔負けの度胸のあるジュディだって怖かったに決まってるよな。千里に代わって自分が彼女についてやらなきゃ、護ってやらなきゃいけなかったのに。
「うん……」
 どうやら少し落ち着いてきたみたいだ。
「ねえ、朋也……もう少しだけ、甘えさえてもらってもいい?」
 ジュディは彼の顔を見上げながら、はにかむように懇願した。
「ああ。遠慮しなくていいよ」
「エヘヘ♥ ……あったかいや……」
 朋也の胸に顔をうずめながら、心底安心しきった声でつぶやく。
 わかってるよ、ジュディ……。お前はいつも強がってばかりいるけど、本当は千里がいなくて寂しくてたまらないのにじっと我慢してるんだもんな……。けど、彼女と再会できる日までは、俺がご主人サマに代わってきっとおまえのことを守ってやるから……約束するよ……。
 朋也はそのままずっと、ジュディの震えが収まるまで抱き続けた──


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