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21 2人で冒険




 事件後──。合流してお互いの無事を喜び合った5人は、さすがに博士の館で泊まる気にもなれず、シエナ市街に引き返して宿をとった。恐怖の体験をした後だっただけに、ベッドで休むことのできる有難さが身に染みる。
 床に入ってから、朋也は今日1日の出来事を振り返った。BSEの正体は、エデンを脅かすモンスターの存在とモノスフィアでの人間の行いとが結び付いていることを示す紛れもない証左といえた。あんな凶悪なやつがこの先もっと出現するようになったら、この世界に住む住民たちの平和な暮らしも一転し、恐怖のどん底に突き落とされることになるだろう。キマイラがニンゲンを誘き出す計画を企て、千里を奪還しようと強硬策に及んだのも、もしかしたら……。
 トラと約束したことを思い出す。人間である自分が、エデンの危機を見て見ぬふりをすることはますますできなくなった。けれどその一方で、1つの世界を護るなんて大それたことが、一介のニンゲンにすぎない自分に果たしてできるんだろうか──と考えると、あまりの責任の重大さに不安で押し潰されそうになる。おかげで、疲れているはずなのに、なかなか寝付けない。
 ふと瞼の裏に〝彼女〟の顔が思い浮かぶ。今日の彼女、強かったな……それにかわいかったし……。護んなきゃいけないものが2つ出来ちゃったことになるのかもしれない。でも、考えようによっちゃ、いざというときにあんなに頼れるパートナーがそばにいてくれるんだもの、きっと何とかなるよな?
 ようやく少し安らかな気分になり、いつしか朋也は深い眠りに落ちていった──

 翌日はまず、事件の真相を告げに妖精の詰所へ出頭することに。
 はたして今回の1件を伝えにいったものかどうか、ずいぶん迷った。行方不明事件がとりあえず解決したことは皆に教えるべきだと思ったが、住民に生きながら寄生する新手のモンスターの出現を公表すれば、市民の間でパニックが起こりかねない。お互いの間で疑心暗鬼の感情が芽生えれば、最悪の事態に陥る可能性もある。といって、同様のモンスターに対する警戒も疎かにはできないし……。
 それで結局、街の治安に関わる妖精にだけ事実を伝え、よきに計らってもらうことにしたのだった。ミオは最後まで渋ったけど。入手したダイヤを提出するのが嫌だったんだろう……。
 当直だったBクラスの妖精は、事件の解決とその報告に対して丁重に礼を述べ、博士の遺留品の帽子と白衣は受け取ったものの、ダイヤのほうは謝礼として譲ってくれた。そのうえ、やはり博士の形見であるBSE3機を自由に使う許可まで出してくれた。ミオの交渉術のおかげもあったが、話のわかる妖精でよかった。
 続いて博士の研究所に足を運ぶ。ミオの提案で、発明品の中から他に目ぼしいものがあれば頂戴──もとい、拝借しようという話になったのだ。それと、朋也が壊してしまったBSE3号を修理できないかも調べる必要がある。今日の便にはさすがに間に合わないにしても、ポートグレーまでの足として活用できれば間違いなく重宝する。が、いま走行が可能な1号と2号だけでは3人しか運べないため、できれば3号も使えるようにしたい。
 驚いたことに、ウシモフが復活していた。一瞬ギョッとなったが、巨大化して襲ってくることはなく、朋也たちの声に反応して命令を待つ姿勢をとる。モンスターの本体は消滅したが、ロボットのほうは単なる器にすぎず、元通りに戻ったんだろう。会話能力はなくなってしまったけど。
 早速サイドカーの修理を依頼すると、ウシモフは車庫の部品の在庫を漁って自ら作業を始めた。ホントに便利だな。
 直るまでの間、5人で研究所内の検分にとりかかった。結局、たいした掘り出し物は見つからなかったけど。バイクとサイドカー2台はそれぞれルビー号、エメラルド号、サファイア号と命名、ありがたく活用させてもらうことにした。
 3台の修理を終えたウシモフについでに車体の塗装もお願いしてから、一行はシエナ市街に繰り出した。アイテムの補充品目を書き留めたメモを手に商店を見て回る。必要な品々を買い揃え、いったん研究所に戻ってサイドカーのトランクケースに積み込んだ頃にはもう夕暮れが迫っていた。
 3原色を基調にした塗装のほうもなかなか上出来に仕上がっている。ウシモフに労いの言葉をかけてから(モンスターの製作したロボットなのはわかってるけど、こうして手伝ってもらってると憎めなくなってくる……)、5人は再度市街に引き返してホテルにチェックインした。
 ポートグレーまで3時間で着くとはいっても、一応余裕を見て出航の前日、今から9日後にシエナを発つことにする。残りの日数をどう活用するかは、明日以降また皆で話し合って決めていくことになった。
 朋也は女性陣と別れて自分の寝室に引き揚げた──


※ 続くシナリオでは、好感度の高い順に"夜這いイベント"が発生。次の選択によりパートナーが確定。4人全員すっぽかすと「zzz...」に自動的に移行して(パートナーは〝なし〟に)次のシナリオへ。


ミオ    千里    ジュディ    マーヤ    クルル    フィル    zzz...

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