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ミオ: +

 まさかカイトと逢引でもするつもりじゃあるまいな? いや、そんなバカなことあるわけない。たとえ俺に嘘を吐くことがあっても、いくらカイトに好意を抱いていようと、ミオはそこまで仲間を裏切るやつじゃない。大体、あいつの夜更かしはいつものことじゃないか。でも……でも……やっぱり気になる……。
 迷った末、朋也はミオの後を尾行してみることにした。プライベートをのぞくことになる手前ちょっと気がひけたが、一度は彼女の〝夜の生態〟をその目で確かめたいという誘惑にはどうしても勝てなかった。
 玄関を出ようとしたところで、エンジン音を耳にする。あれは単車のルビー号(前BSE1号)か? ちょっとその辺をブラブラというレベルじゃなさそうだな……。
 再びカイトとの逢引疑惑が頭をもたげる。え~い、何バカな想像してんだ! カイトのやつははるか海上のレゴラス神殿にいるんだぞ? ちょっと乗り回してみたくなっただけだろう。彼女の運動神経なら乗りこなすのはわけないはずだが、日中ハンドルを握ってたのは俺とクルルだったからな。
 ホテルの前庭の噴水のそばにネコ族の男性が立っていたため、尋ねてみる。
「ねえ、君。いまこの前をネコ族の女の子がバイク──えっと、2輪車で通らなかったかな?」
 その男は朋也のことを値踏みするようにジロジロながめてから、口を開いた。
「ああ、あの娘のことかい? 今日街に来たカワイコちゃんだろ? ホント、すっげえカワイイよな!?」
「ええと……ま、まあね」
 同意を求められ、とりあえずうなずいておく。オーギュスト博士やカイトを連想させる押しの強さだな。オツムのほうは博士の足元にも及びそうにないし、ルックスもカイトの美貌には程遠かったけど。
「君、一緒に旅してるんだってねぇ。いやあ、うらやましい限り。まあ、でも……おっと、そうそう、彼女がどこへ行ったかだよね? さっき街の外に出ていったよ。北にあるイゾルデの塔に用があるとか言ってたかな」
「イゾルデの塔だって!?」
 まったく予想していなかった回答に戸惑う。ニンゲンの幽霊が出るから住民は誰も近寄りたがらないという、曰くつきの場所なのに……。ミオのやつ、何だってまたそんなところに用があるんだろ??
 さて、どうしたものか──


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