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 不意に低い地鳴りのような音が鳴り響いたかと思うと、いきなり前方の視界が真っ白になった。今度は何事だ!?
 降りかかる雪のかけらから身をかばいつつ、状況を見定めようといったん後退する。辺り一帯に立ちこめた雪煙が収まってみると、インレに続く洞穴の入口がきれいさっぱりなくなっていた……。
 ポカンと口を開けて目の前の白い壁を見つめる。さっきの衝撃で積もった雪が崩落したのだろうか。
 朋也はそこで重大なことにハッと気づき、青ざめた。もし、ミオが中にいたとしたら、閉じ込められたか、最悪生き埋めになってしまったかも!?
「おーーいっ!! ミオーーーッ!!! 中にいるのかっ!? 頼む、生きてたら返事してくれ~~っ!!」
 返事はない。彼は無我夢中で洞窟を覆った雪壁に取り付くと、両手でせっせと掻きだし始めた。
「待ってろよ、ミオッ!! 今すぐ助けてやるからな~っ!!」
 影から一部始終を眺めていた当人は、朋也の真後ろまで来ると、はたして自分がここにいることを教えてやったものかどうかと腕組みして考え込んだ。
(……他のことに気を取られる余裕もニャイみたいだから、邪魔しニャイでおこうかニャ。頑張ってね、Darling♥)
 東の山裾から朝日が顔を出し、雪を被った峰々を朱に染めた。清清しい1日の始まりだった。
「ミオ~~~~ッ(T_T)」


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