しょうがない。こっちとしても黙ってやられるわけにはいかない。朋也は受けて立つことにした。仕掛けてきたお前らが悪いんだからな!
ブブの横綱級張り手をギリギリのところで交わす。なんか動きが素早くなったみたいだな。ホントにダイエットしたのか? まだ90キロはありそうだけど……。間髪入れずジョーの剣が朋也の足を薙ぎ払おうとする。お、ちゃんと当たるようになったのか? ちっとも痛くないけど……。
「この悪党め、ちょこまかと。こうなったら俺様の必殺剣で倒すのみだ! 行くぜ、真・牙狼ッ!!!」
「うわっ!?」
ゲドのやつ、イヌ族最大奥義の必殺技をかましてきやがった。あんなのを食らったら無事じゃ済まなかったぞ!? スキルをジュディに譲渡したばっかりのはずなのに、もう追いついたのか? さすがトラの子分、侮れん……。
強力な攻撃に対し、朋也は身体がつい反応してしまった。自らもウサギ族の最大スキルを発動する。
「ウサピョンソバットッ!!」
「おごげっ!(XoX;;」
朋也のかかと落としは見事にゲドの脳天に決まった。し、しまった!? 今の、まともに入っちゃったよ。あいつ、頭にバンソーコ貼ってんのに……。
「お、おい、大丈夫か!?」
朋也がすっかり伸びてしまったゲドのもとに駆け寄ろうとしたとき、ちょうどクルルがやってきた。
「ちょっと朋也っ! 何やってんのさ!?」
「えっ!?」
びっくりしたブブとジョーは改めて侵入者の顔を見た。
「あ~っ! どっかで見たことある思うたら、朋也の兄ちゃんやないか!?」
「ホントにね。でも、兄ちゃん、匂いがほとんどウサギ族になっちゃったからわかんなかったよ。不思議だね」
「そうならそうと何で最初っから言わんのや!?」
「だから言おうとしたのに……」
だが、朋也の弁解にクルルは耳を貸してくれなかった。腰に手を当てて彼のほうをきっと睨む。
「まったく、クルルは弱い者イジメをする人は嫌いだよっ! ねえ、おじさん、大丈夫?」
あんな必殺剣放てるんだから全然弱くないのに……。クルルは朋也を無視してゲドのそばに駆け寄ると、彼の頭を膝の上に乗せ、心配そうに顔をのぞき込んだ。
ゲドのやつ、彼女に膝枕してもらってなんだかちょっと幸せそうな顔をしている。ちくしょ~、俺だってしてもらったことないのに~(T_T)