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「ク、クルル!!」
 まともにたたきつけられ、嫌な音とともにどさっとくずおれた彼女のもとに急いで駆け寄る。
 しまった、俺が攻撃させたばっかりに……。落ち着け、ともかく治療しなくちゃ! ぐったりとして動かないクルルを介抱しようと、アイテムを取り出していたとき、瀕死の重体を負ったはずの彼女がむっくりと身を起こし立ち上がった。
「おい、クルル!?」
 呼びかけても返事がない。目つきがトロンとし、顔つきがいつもと別人のように見える。いつも赤みを帯びている彼女の瞳が、今はなぜか青く輝いているように見えた。洞窟内の光の加減のせいなのか……。
 胸元に飾ってある形見の宝石も強烈な光を放っている。こちらは気の所為じゃない。BSEに追い詰められたときと同じだ。
「三神呪!!」
 いつもの幼さを帯びた彼女の声ではなく、落ち着きのある大人びた声で唱える。同一人物のはずなのに、まるで他人のようだった。ウサギ族のスキルにそんな技あったっけ? 聞いたことないぞ?
 だが、威力のほうは絶大だった。クマゴリパンダの全身が白い閃光に包み込まれた。次の瞬間、そいつはどおっと音を立てて凍った地面の上に倒れた。す、すごい……一発で!?
 クルルはその場にペタンと尻餅を着いた。夢でも見ていたような表情だ。目の色は普段のそれに戻っている。朋也が壁にぶち当たった肩のところを調べてみると、出血は完全に止まっているうえに、傷口自体きれいさっぱり消えていた。一体どういうことなんだろう? まあ、ともかく彼女も無事だったし、あいつもやっつけることができて助かったけど……。
「いまの、すごかったな? なんて技だっけ?」
「え? ううんと……あれ? フリーズじゃなかったのかなあ?」
 そのとき、前のめりに倒れていたクマゴリパンダが身じろぎをした。苦しげにうめきながら立ち上がろうとする。さすがにしぶといやつだ──


*選択肢    懲らしめる    見逃す

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