彼女と……一緒に暮らす……永遠に? ゴクリと唾を飲み込む。吸い込まれそうなイヴの瞳から目を離すことができない。どうにかこうにか視線を引き剥がし、下を見下ろす。と、彼女の豊かな胸の谷間が彼の目を貫き脳天を直撃した。何やら温かいものが鼻から口元に伝っていく……。ち、千里が目の前で見てるってのに(T_T)
あわてて彼女から身を離し、鼻血を拭うと、どもりながら答える。
「そ、そ、そんな要求には応じられない!」
「朋也……あんたいま、迷わなかった?」
語り口こそ穏やかだったものの、案の定千里の額には青筋が浮かんでいた。いつもだったら両の指をボキボキ鳴らしていたところだろう……。
「朋也ぁっ! いますぐ成敗されたいかぁーっ!!」
スポ根漫画に出てくるスパルタ親父みたいに、ジュディの目から炎が吹き出てる……。
「ま、迷ってない、迷ってない」
朋也は顔の前で手をブンブン振って、なんとか否定しようとした。
「と、ともかく、早く千里を解放してくれ!」
「私より、この小娘の方がいいっていうの? 本当に?」
流し目を送ってくる。朋也はまた胸がドキッとした……。
「そう……じゃあ、試してみようかしらね……あなたの愛が果たして本物かどうか……」
イヴは氷のような冷たい視線を身動きもできずにいる千里に向けると、黒いいかずちの矢を手から放った。
「きゃあああっ!!」
毒々しい煙霧のようなものが千里の身体にまとわりつき、顔が苦痛に歪む。続いて、イヴは彼女から魔力を吸収するための戒めを解いた。
「これでもう、この娘の身体は私の意のまま……。解放して欲しかったら──」
朋也に顔を戻し、残忍な笑みを浮かべる。
「この子を倒すことね……」
な……なんだと!? 続いて彼女は、〝ゲーム〟の説明に入った。
「あなたたち2人の愛が、私の憎しみより深ければ、この娘は助かる。もし、私の憎しみに勝てなければ、その時は──この子は死ぬわ……」
そ、そんな……。あまりのことで声も出ない。
「さあ、どうする? あなたに受ける勇気があるかしら? まあ、所詮あなたたちの愛なんておままごとにすぎないんですもの、やめておいたほうが無難でしょうけど……。そのお鼻から流れているものがいい証拠よね」
そう言って、手を口元に持っていき高笑いする。