朋也は激しくかぶりを振って言った。
「駄目だっ!! そんなことできないよ! もし──」
その先は言えなかったが……もし、イヴの言うとおり、2人の気持ちが彼女の憎しみを超えられなかったらどうなる!? 千里のことは好きだ。でも、100パーセント彼女の命を救えると言明できる自信はなかった。
「朋也っ! お願い!!」
頭を抱えてうめく彼を見て、千里は焦燥に駆られたように必死の眼差しで懇願した。
「朋也……やってみるしかニャイわよ? このままじゃ、どのみちあの女に世界を消されるだけニャンだから」
ミオが彼の背中を押そうとする。
「ボクからもお願いするよ。ご主人サマ、お前のこと好きだって言ってるじゃんか……だったら、応えてあげてよっ!」
ジュディも真剣な目で朋也に乞う。
朋也はじっと千里の目を見返した。彼女のほうはあくまでも朋也にすべてを託すつもりのようだ。下手をすれば命がないというのに……。だったら、自分も勇気を振り絞らなくっちゃ。
「……わかった、やってみるよ……」
ゴクリと唾を飲み込んでうなずく。
「みんなも頼む、力を貸してくれ!」
「いいわよぉ~!」
「サポートはお任せください」
「クルルも2人を応援するよ!」
パーティーは戦闘の態勢に入って身構えた。
「……愛なんて、束の間しか続かないはかなく脆い感情が、憎しみに勝てるわけがない!!」
歯ぎしりしながらイヴが叫ぶ。
なんてこった……よりによって、千里と戦う羽目になろうとは。そもそも、自分の好きな女の子に銃を向けるなんて真似ができるだろうか? それも、憎しみや殺意ではなく、憎しみを超える愛をもって戦えだなんて……。こんな形の愛の試練なんて願い下げだ! でも、やらなきゃ彼女の命がないっていうなら仕方がない……。
「行くぞ、千里……少しの間、辛抱してくれよな……。俺も、千里のこと、好きだからっ!!!」