戻る






 朋也たちは扉をくぐってアニムスの塔の中に足を踏み入れてみて驚いた。塔の中には壁や天井がなく、上下左右に宇宙が広がっていたからだ。青白い光を放つ銀河や星雲が、手が届きそうなほど近くにあるように見える。この神殿は、建物と異空間が入れ子状の構造になっているらしい……常識ではとても理解できないけど。
 なぜか皆既日蝕のコロナだけは星空の一角でほのかに輝いていた。その星々を背景に、1本の階段が螺旋を描きながら上に向かって伸びている。ここからではよく見えないが、階段の行き着く先で赤と緑の光がぼんやりと淡い光を放っているのがわかった。千里はあそこか……。
 朋也が上を目指して階段を登りかけたとき、上から誰かが降りてくるのが見えた。これから助けに行こうとした当人だ!
「ご主人サマ!! よかった、無事だったんだねっ!?」
 ジュディが千里を迎えにダッと駆け出していく。
「ジュディ、あなたも無事でよかった──!」
 2人は抱き合ってしばし再会を喜び合った。千里は続いてみんなのほうを振り向いた。
「みんなも来てくれてありがとう」
「千里、身体の方は何ともないか? アニムスはどうなった?」
「ええ、私は霊力も奪われずに済んだけど……大変なの、紅玉が復活しちゃったわ!」
「何だって!?」
「おかしいわねぇ?? 神獣様自身、紅玉を復活させるには千里の霊力を送り込む必要があるって言ってたのにぃ……」
 マーヤが首をかしげる。彼女の言うとおりだった。でなければ、そもそも最初から彼女を誘拐する理由なんてなかったことになってしまう……。
「私にもわからない……。でも、クルルちゃんが──」
 千里は腑に落ちない顔でつぶやいた。彼女の名前を聞いて朋也が身を乗り出す。
「クルル!? クルルがどうしたって!?」
「うまく説明できないんだけど……私を解放したのも、その後紅玉を復活させちゃったのも、彼女だったの。この先に行けばわかるけど……でも、はっきり言って、危険かもしれないわよ?」


*選択肢    クルルをほっとけない    用も済んだし帰るか・・

ページのトップへ戻る