!! 神……獣……だと……!? 声音は間違いなくクルル本人のものだが、まるで別人が話しているようだ。耳を疑う発言に、朋也は声も出なかった。
「うそぉ~~っ!? 第3の神獣がずっとあたし達の側にいたなんてぇーっ!」
マーヤがムンクの叫びのポーズをとる。
「クルルって、神様だったの!?」
ジュディも信じられないといった顔だ。
そのとき、さらにもう1つ信じられない出来事が起こった。蒼玉の光が一段と強くなったかと思うと、残りの2つのアニムスも呼応するかのように輝きを増す。そして、突然その中から火の玉が吐き出された。赤と緑の2つの光球は、やがてそれぞれのアニムスの守護者の形を取り始めた。
「キマイラ様ぁっ!? それに神鳥様までぇーっ!?」
マーヤのキンキン声は普段よりさらに1オクターブくらい高くなっている。
「うげ……3神獣が揃っちゃったわよ!?」
ミオが状況を的確に伝えるうめき声を発した。
≪蒼玉の神獣はエデンの民の1人として生を受け、転生を繰り返す。平時には深層意識に埋もれ眠りに就いているが、紅玉と碧玉が危機に見舞われた時、覚醒するのだ。第3の神獣は、その慈愛の力によって我々に無限の再生力をもたらす。よって朋也よ、お前たちにはまったく勝ち目はないということだ≫
甦ったキマイラが諭すように説明する。
朋也には未だに目の前で繰り広げられた出来事を信じることができなかった。
「嘘だろ!? クルルが神獣なんて……。クルル!! バカなこと言ってないで、一緒にユフラファの村へ帰ろう!!」
クルルはまっすぐ朋也を見つめ、抑揚のない声で言った。
≪あなたはどなたですか?≫
「なっ!!」
思わず絶句してしまう。
≪私はクルル。エデンを守護する神獣の1人……エデンに棲む全ての生命を抱擁し、慈愛を降り注ぐのが私の務めです≫
朋也は愕然としながらつぶやいた。
「そんな……俺のこと、忘れちまったのか!? もう、元へは戻らないのか!? 彼女はどこへ行っちまったんだ!? 俺のクルルを返してくれっ!!」
さっき引き返そうとしたことを棚に上げて訴える。
「仕方がない……そういうことなら、彼女のことはもう忘れる!! 俺たちの世界を失わせるわけにはいかない! 行くぞ、神獣っ!!」」