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 そのとき……彼女の胸のサファイアがまばゆい光を放ち始めた。ついにはあまりにまぶしくて目も開けていられないほどになる。神獣の2頭でさえ予想外の出来事に驚愕しているようだ。一体何が!?
「朋……也……」
 〝彼女〟だった。
「クルルッ!! 戻ったんだな!? 俺が判るか!?」
 クルルは朋也に向かってにっこり微笑みかけた。
「もう……大丈夫……心配しないで……。クルルは……誰も苦しめない……誰も悲しませない……誰にも不幸な思いはさせないよ……だから、安心して……」
 そして、胸のブローチにはまったサファイアに手をかざし、意識を集中し始める。アニムスの力を取り出すかのように。まさか……封印を!?
「朋也……今までありがとう……。クルル、朋也に逢えてよかった……」
 クルルの全身が青白い輝きにすっぽりと包まれた。まるで蒼玉そのものと同化したかのように。
 次の瞬間、光の塊と化した彼女の身体はまるで打ち上げ花火のように天に向かって昇っていった。
「クルルーーッ!!!」
 一同が呆然として頭上を見上げる中、はるか高空に達し、光る点としか見えなくなったクルルの身体は、そこで弾けとんだ──白く輝く無数の小さな欠片となって……。


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