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 アニムスの塔に乗り込んだ朋也たちは、ほどなく閉じ込められていた千里を発見した。狭い塔内の一角で赤い光のメッシュに全身を覆われ身動きもできないまま、魔力を吸い取られている。
「ご主人サマ!!」
「ジュディ!! 朋也!! みんなも……」
 ぐったりしていた千里は、ジュディの声を聞いてハッと顔を上げた。途端に顔が輝く。どうやら魔力を吸収されても痛みが伴うわけではないようだ。
 ジュディはただちに彼女のもとへ駆け寄った。千里を縛り付けている光の発信装置らしいものの周りを、光に触れないようにしながらみんなであちこち調べる。だが、スイッチらしい物も見当たらず、適当にいじってみても反応はない。
「こんにゃろ~!」
 憤ったジュディは剣でぶったたいてしまった。無茶するなあ……。それでも、不意に光の拘束が解かれる。千里はその場にしゃがみこんだ。
 抱き合って再会を喜ぶ2人を前に、みなはホッと胸をなで下ろした。キマイラは魔力の抽出はほぼ終わったと言っていたが、千里にはまだ魔法の力が残っているようだった。これでたぶん、紅玉の再生は途中で止まったことになるんだろう。このまま皆既日蝕が過ぎてしまえば、自分たちの世界は消滅せずに済むはずだ。キマイラとエデンの住民には申し訳ないが……。
 アニムスの塔を脱け出ようとして、朋也は何気なく上を見上げた。天空には相変わらずコロナの青白い輝きがユラユラとうごめいている。
彼はそこで、何かがおかしいことに気づいた。塔の頂上辺りだ。光の明滅が、さっき見たときより一段と激しくなっている。閃光は赤だけでなく緑色も交じり、2色の稲妻が絡み合うようにしながら宙で踊っていた。雷鳴のような轟音が周囲に響き渡る。
どういうことだ!? 紅玉再生のプロセスがまだ停まっていない!? 誰かがあそこにいるのか!?
 7人は互いに顔を見合わせた。千里の救出に成功したはいいが、ここまで来てルビーのアニムスが再生されるのを指をくわえてながめているわけにもいかない。ともかく、何が起こっているのかだけでも確かめないと……。
「朋也! こっちにもう1つ扉があるわよ?」
 横手に回ったミオが声を上げた。千里の閉じ込められていた部屋は魔力の抽出装置しかなかった。塔の上まで続いているのはそちらの入口に違いない。
「よし、ともかく上へ上がってみよう!」


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