2日目の夜、みんなで夕食にキリスウングル名物の豆腐料理を食べ、しばらく歓談してから、自室に上がってベッドの上で横になる。せっかく温泉に疲れを癒しにきているというのに、朋也の心は浮かばれなかった。目を閉じてもなかなか寝付かれない。
明日はもうビスタに戻って帰り支度をしなくちゃならない。明後日にはいよいよエデンとお別れだ。ミオや、千里や、ジュディや、パーティーのみんなとも、もう2度と会うことができなくなる……。
天井を見上げながら、彼女たちの顔を思い浮かべる。涙が込み上げてきた。
誰かが部屋のドアをノックする。誰だ、こんな時間に? まさか、ジョーのやつが卓球のルールがわからなくて眠れないから教えろとかいって来たんじゃないだろうな? あいつ、物覚えの悪さにかけちゃ超一流だからな、ホントにね……。
枕で涙を拭き立ち上がる。ドアを開けると、外に立っていたのはミオだった。
「なんだ、夜這いにでもきたのか?」
「ウフフ、それもいいんだけど……もっとすごいもの朋也にあげちゃおうと思って……」
そう言って恥らうように封筒を差し出す。
「千里がそれあげるって。何だと思う? 聞いてビックリ、ニャンとあたいの生まれたまんまのあられもニャイ姿を納めた写真ニャの♥ しかもそのうえジュディとの絡みよ。2人とも一糸まとわぬ完全オールヌード♪ どう、興奮してきたでしょ? とっても恥ずかしいけど、他でもニャイ朋也にだったら見せてあげちゃう、キャッ♥ 誰にも見つからニャイように、布団の中で1人でじっくりこっそり開けてね♥」
封筒を受け取ると、女の子たちの部屋に引き返していくミオの後ろ姿を呆然と見送る。いつからそんな関係になったんだ、あの2人!? 撮影者が千里っていうことは、彼女も共犯? もしかして3人そろってソッチ嗜好だったりするのか?? あいつが残りたがったのもそういう裏があったりとかして……お父さんは悲しいぞ(T_T)
ミオに言われたとおりベッドの上で布団をかぶり、ドキドキしながら封筒に入った写真を震える指でつかむ。そろそろと引き出しかけ、いったん目をつぶる。ホントにこんなもん見ちゃっていいんだろうか?? 未成年者にとっては水着混浴よりもさらに危険な領域だ……。ええい、これも役得だあ! ままよっ!
思い切って目を開く。うわ、すごい。正真正銘の全裸だ。しかも絡み。おまけにミオは言わなかったが、未成年者だったりする。ていうか、生後2ヵ月の頃だ……。
そういえば、こんな頃もあったよなあ……。朋也はあどけない2人の表情をしみじみと見つめた。あの頃は本当に可愛かった。今はあんなやつだけど……いや、今ももちろんカワイイけれど。
千里にとっちゃ肌身離さず持ち歩いてたほど大切な秘蔵の1枚だったろうに。本当に、俺がもらっちゃってもいいんだろうか? ありがとな、千里、ミオ、ジュディ……。生涯宝物にして大事にしまっておくよ。
朋也はやっと安らかな気分になり、深い眠りに落ちていった。