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 砂漠を2時間走り続け、朋也はポートグレイに到着した。
 前回の冒険時はシエナでチケットを入手する必要があったが、今の朋也はモンスターハンターとしてのゴールドパスがあるので、今回はフリーで船に乗れる。
 その晩、彼を乗せた定期船はレゴラス島に向けて出港した。
 デッキに上がり、次第に遠ざかるポートグレイの街灯りをぼんやりとながめる。だが、頭の中はジュディのことで一杯だった。
「ジュディ……千里が来るまで辛抱してくれな……俺たちの子と3人で一緒に幸せになるんだぞ……」
 そんなことを考えていると、自然とまた視界がぼやけてくる。ジュディと別れる決心をして以来、どうにも涙もろくなってしまった。
 朋也は船室に戻り、1人寂しくエデンの最後の夜を過ごした。
 翌朝、船はレゴラス島に到着した。前回訪れたときは日食までに使命を果たさなければならず緊迫感にあふれていたが、今回は違う。朋也は悠々と桟橋を降りた。日食イベントもないので、上陸した客は少なかったが。
 レゴラス神殿とその周辺はずいぶん様変わりしていた。神殿に勤める妖精たちも、一般市民の観光客ものんびり寛いでいる。何しろ、あのときは神殿の内部がモンスターの巣窟と化していたからな。
 色とりどりの花が咲き乱れ、古代オリエントの彫像のような柱が並ぶ庭園をすぎ、神殿のエントランスの前に来て、朋也は立ち止まった。
 3年前のあの日のことを思い出す。レゴラス神殿の入口でパーティーを出迎えたのはカイトだった。モノスフィアでの前駆形態時代からの顔見知りでもあったミオの恋人。男でもつい見惚れてしまうほどのハンサムガイながら、キザな性格で鼻持ちならない奴だった。実力の方も、神獣から霊力を分譲されただけあって、最強魔法ジェネシスを駆使し三獣使より格上といえるほど手強い相手だったが。
「ようこそ、レゴラスの神殿へ!」
 そうそう……そんな感じで、伽藍の上にかっこつけて登場したんだよな……。
 そう思いながらエントランスを見上げる。グレーのネコ族の男性が腕を組んでじっとこちらを見下ろしていた。そう、カイトそっくりな──
 ていうか、カイト本人!!??


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