植物系モンスターの多くはやはり昆虫属性と火属性が弱点なので、マーヤ1人でバリケード植物は退治することができた。
「まぁ、ざっとこぉんなもんねぇ~♪」
小さな胸をエッヘンとそびやかすマーヤに、朋也は礼を述べた。
「ありがとう、マーヤ。おかげで助かったよ。それにしても、よく俺がこっちへ来たのがわかったね」
朋也がそう言うと、彼女は少しバツが悪そうに頭を掻きながら答えた。
「いやぁ~、実は朋也が来るのわかってたわけじゃないのよぉ。ここは曰く付きの森だから、神獣様の言いつけで異変がないかあたしたち妖精が定期的にチェックしてるのよぉ。で、今日はたまたまあたしが担当する日にあたってて、森の様子を見に来てたら、あなたに遭遇したってわけぇ。ラッキーだったわよねぇ♪」
それから、改めて朋也を頭から足先までながめまわしながら、首をかしげて尋ねた。
「それにしてもぉ、キマイラ様がゲートを開通してないのに、いったいどんな手品を使ってこっちの世界にやってきたのぉ? それとぉ、フィルは一緒に来てないのぉ? 彼女は元気にしてるぅ?」
「それが……実はかくかくしかじかで──」
朋也はマーヤに事の顛末を詳しく話した。それを聞いてびっくりした彼女は空中で倍の高さに跳び上がった。
「ええぇ~っ!? フィルが神木の杖に寄生されたぁ!? 2人とも向こうでのんびり暮らしてると思ったら、まさかそんな大変なことになってたなんてぇ……」
「なんとかキマイラの助けを得られないかと思ってね。向こうの木々たちも協力してくれて、俺をこっちに送り込んでくれたんだ」
「ふえぇ~っ! じゃあ、ゲートを開いたのはモノスフィアの森の木々たちだったんだぁ。神様や神木よりすごいパワーを秘めてたのねぇ~」
マーヤも朋也と同じ感想を漏らす。
「ううん……フィルを救う方法はあたしにも思いつかないけどぉ、確かに神獣様なら何とかしてくれるかもぉ。何しろぉ、朋也とフィルには世界を救ってもらった大きな借りがあるんですものねぇ♪」
それから、彼女は手をポンと打って朋也に申し出た。
「じゃあ、あたしも一緒についてってあげるわぁ。他でもない、大親友のフィルと朋也のためだものねぇ~♪」
「いいのかい? ありがとう、マーヤ!」
こうして、5年前と同じように朋也は心強い仲間を得たのだった。