最初にお断りしておくと、陸上やハードルに関する記述ははっきり言っていい加減ですので、あまり真に受けないでください。一方、ネコに関しては、筆者は別に動物学者でも獣医でもありませんが、一応親として〝こども〟の心理・生理についてはそれなりに心得ているつもりです。
本作中に登場するネコの生態・行動については、一部(相対性理論の考察とか)を除いて基本的にはノンフィクションです。感覚等については書籍を参考にしていますが、ネコの行動心理や社会性についてはこどもたちに教えてもらった部分が大です。ネコの社交、獲物をもてあそぶ行動については、三獣使の解説ページでも触れています。不妊去勢の問題についてはブログ参照。
本作をお読みになった方は、ネコ文学/動物文学の金字塔として知られるポール・ギャリコの『ジェニー』を思い浮かべられた方もいると思います。実際、自分なりのジェニーを書いてみたいというのが本作を書いた動機のひとつでした。ちなみに、栞が"昔図書館で借りた本"というのがこれ。興味のある方はぜひ読んでみてください。
今作はほぼ一月でえいやと書き上げたものですが、海底で息詰めてハードルやってるみたいな感じで、正直かなりきつかったです。感性で書きなぐる部分、筆の進みは早かったのですが。女の子が主人公の一人称形は大変・・。
それから、本作に登場するサッシさん、フルフル、ゼンちゃんなどのキャラクターは、私の知己のネコたちがモデルです。中には好きなファンタジー作品の中から名前を拝借した子もいます。
他でもないリムとリューイにもモデルがいます。一緒に拾われた二匹は、それは仲のよい兄弟でした。でしたというのは、もう二匹とも骨になってしまったからですが。しょっちゅうプロレスごっこに興じていましたけど、身体の大きな食いしん坊の〝兄〟が一方的に勝つことはありませんでしたし、寝るときはいつも一緒でした。虚弱体質だった〝弟〟が亡くなってしばらく後、兄は家出をしました。一ヵ月後に戻ってきて、自分から家に入ってきたのですが。獣医の先生に「とっくに限界を超えている」と言われながら、なおも勝ち目のない死と果敢に戦い続けたことも。二匹のくれた時間は、私にとって何物にも代えることのできない、世界のすべてに勝る永遠の宝物です。