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エピローグ──セカンドステージ




 ホストを失った十二人のクライアントたちは、目の前に広がるサンゴの海をぼんやりと眺めながら、潮騒に耳を傾けていた。しばらくの間、だれ一人口を開こうとしない。
 ミオがやおら立ち上がり、一同を見回して言った。
「さあ! 世話のかかるこどもたちも無事に巣立ったことだし、あたいたちはあたいたちで人生を楽しみましょ♪ どう? あたいたちだけで第二ラウンドを始めニャイ? 星間レースでも、モンスター退治でも、お宝探しでも、ジャンルはニャンでもいいわ」
「悪くないね。だが、チームの組み合わせはシャッフルしないか? じいさんだって、次は若い女の子とペアを組みたいだろ?」
「ホッホッ、言えとるわい」
 ヨキが提案すると、ヨナも口もとをほころばせた。
「バカイヌも堅物レナードと一緒がいいわよね?」
「な、何言ってんだよ!? ボ、ボクは、別に、その……」
 ミオの冷やかしに、ちゃっかりレナードの隣に座っていたジュディは、顔を真っ赤にしてしどろもどろに答える。
「別にかまいませんけど、【トリアーデ】の三人と組むのだけはごめんですわ」
 葛葉が渋い顔で注文を付けたのに対し、名指しされた三人からいっせいにブーイングが巻き起こった。
「ヘン、誰がオバンギツネなんかと組むかってんだ!」
「こっちから願い下げッス!」
「ですの!」
「んま! なんですって!? あなたたちの身長と精神年齢がいくら低くても、実年齢は私のほうが若いんですよ!」
「葛葉、糖分補給を……」
 相方をなだめようと、夷綱がフルーツスティックを差し出す。
「私はエッちゃんと一緒がいいですよ」
「あかんあかん、チイちゃんも杏子はんを見習わな。うちとばかり組んでたら、ボケ方もマンネリになってまうで」
「漫才コンテストやったら、きっと【イソップ】が最強ですよ」
「だぁから、そのボケ方治しぃ言うとるやんか!」
 エシャロットがチコリをポカポカなぐる。
 仲間たちが元気を取り戻したのを確かめると、ミオは満足そうにうなずいて言った。
「じゃあ、いまからさっそくゲーム開始ね。最初のミッションは警備艇の包囲網突破。みんニャ、好きニャ船まで競走よ! どの船に乗れるかは早い者勝ち♪」
 言い終わるが早いか、彼女は白い砂浜の上を勢いよく駆けだした。


★fin★

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