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 数秒後、あふれ返る光がようやく収まり、朋也は薄く目を開いた。と……さっきまでジュディがいた場所に、女の子が座っている。こ、これは!?
「ジュディが……女の子に!?!?」
「言ったでしょぉ? 生死に関わる一大事に遭った時に成熟形態になるってぇ。ああ、だけどよかったぁ~! やっと変身してくれたんだねぇー♪ そうすれば助かるのはわかってたんだけどぉー、この子とっても頑固だったからぁー」
 事情のわかっていたマーヤは驚きもせず、ほっとした声で朋也に解説した。
「もう大丈夫です。これで一命は取り留めましたわ」
 フィルも彼に向かって微笑んだ。
 朋也としてもジュディが助かってくれた安堵感は大きかったが、それ以上にびっくりしたのは成熟形態になった彼女の姿のほうだった。ゲドとは全然違う。毛皮は全身を覆っていなかったし、顔つきはニンゲンの女の子そのものだ。違うのは、前駆形態のときとほぼ変わらない尻尾と耳だけ。その尻尾と耳、髪の色は元の毛色とそっくり同じグレーだったし、顔も彼女をニンゲンにしたらきっとこんな感じだろうというイメージどおりだったが。
「いつつ……。こ、ここは? ボクは、何を……?」
 頭を押さえながら、ゆっくりと彼女は立ち上がった。目をぎゅっとつぶって眉間を抑える。こういう仕草は変身したそばから自然にできるものらしい。が、やっとこれまでの経緯を思い出したらしく、ハッとして顔を上げる。
「そうだ! ご主人サマを助けなくちゃ!! ご主人サマは一体どこに!?」
 周囲を見やる。そして、朋也の姿に気づくと、いきなり彼につかみかかった。
「やい、バカ朋也っ!! ご主人サマはどうしたっ!?!?」
 自分に向けた開口第一声が「バカ朋也っ!」、かよ……。だが、彼には言い返す言葉もなく、ただ頭を下げるしかなかった。
「すまん、見失った……」
 ジュディは朋也の胸倉をつかんで激しく揺さぶった。
「見失っただって!? お前、それですまんの一言で済むと思ってんのか!? くそっ!!」
 彼を突き飛ばしてそのまま駆け出そうとするが、がくっと膝を折る。
「くっ!」
 そりゃ、あの高さからまっ逆さまに落ちてきて、五体満足なのが不思議なくらいだ。実際、肋や肢の2、3本はイッてたはずだが、変身の際の奇跡的な回復力とマーヤやフィルの必死の魔法のおかげで、かろうじて立てるまで持ち直せたんだろう。身体を動かせる状態じゃない。
「おい、ジュディ! 無理だよ、その身体じゃ──」
 ジュディは足首を押さえたままきっと振り返った。
「うるさいっ!! こんなとこでグズグズしてる間に、ご主人サマの身に何かあったら……ボクがご主人サマを護らなくちゃならないんだ、ボクが!! 大体、朋也っ! 一体誰の所為でご主人サマがこんな目に遭ったと思ってるんだ!? お前とミオの所為だろうが!? お前、ご主人サマとミオとどっちが大事なんだよっ!?」


*選択肢    ミオ    千里    どっちも大事

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