「そんな、謝ることないって! 大体、フィルがいてくれなかったら俺たちずっと霧の森の中をさ迷ってるとこだったし、道を教えてもらったり、何よりジュディを手当てしてもらったり、ほんと助かったよ♪」
「あたしじゃ全然助からなくて悪かったわねぇ~」
ふてくされたマーヤがブスッとしながら文句を言う。
「そ、そういう意味じゃないったら……」
「少しでもお役に立てたのでしたら、光栄ですわ」
「それにしても、森の樹の精とこうやって話ができるなんて夢にも思わなかったよ。これからは草木と接する時は注意しなきゃフィルに怒られちまうな♪」
あまり悠長に長話にふけっている場合ではなかったが、これでお別れとなると名残惜しさも手伝ってついフィルに話を向けてしまう朋也だった。
「そうよぉー。森を本気で怒らせたらすっごく恐ろしいことになるんだからぁー!」
もっとも、フィルと会話しているつもりでも受け答えの3分の2はマーヤのような気がするけど……。
「え、そうなの?」
「フフフ……」
「あぁーっ!? フィルが笑うところなんて、あたし初めて見たぁー!」
樹の精と付き合いの長い妖精が驚きの声を上げる。そんなにフィルが笑うことって少ないの? もしかして、朋也たちはすごく貴重な場面に立ち会ったのかもしれない。
「おかしいですか?」
人差し指を唇に当て、小首をかしげるようにして問う。質問の相手は朋也のようだ。
*選択肢 そんなことないよ 無理はしないほうが・・