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ミオ: +
千里: -
ジュディ: --
マーヤ: +
クルル: +
フィル: +

「どうした、兄ちゃん。びびってんのか? 何だったらハンデをくれてやってもいいぜ? 向こうにいたときとは正反対の立場にいるわけだからな。こっちは腕1本で相手してやる」
 余裕の笑みを浮かべて挑発する。トラ……ご飯のときも、若くてトロい子に順番を譲ってやるような、ネコにしては本当に奇特なやつだった。それだけに、朋也にとっても、ミオと近所付き合いのあるネコたちの中で彼には特別な愛着があった。彼のことを凶悪なモンスターとみなすなんて、そんなことできるわけがなかった。たとえ彼が千里の命を奪おうとする敵になってしまったとしても。
「お前と……闘いたくなんかない」
 朋也は目を背けるようにうつむいて首を振った。
「そうか。じゃあ、彼女の命を俺たちに預けても構わんというのだな?」
 それを聞いたジュディが猛然と吠える。
「ふざけるなっ!! ご主人サマを殺されてたまるかっ!!」
 彼女は親子ほどもありそうな巨躯めがけ、剣を振り上げて突っ込んでいった。だが、トラは大地に吸い付くような足さばきで、ジュディの剣をスレスレのところでひらりとかわしていく。身体の大きさからは想像のつかない身の軽さだ。彼女の攻撃は毛皮の先をかすめることすらできなかった。
 ジュディは息が上がったところで手首をむんずとつかまれ、朋也の足元まで放り投げられてしまった。膝をいわしてまともに立ち上がることもできない。勝負にならなかった。
「おい、朋也。お前さんは来ないのか? 何なら2人がかりでもこっちは構わんぞ? それとも、彼女を本気で見捨てる気か? お前さんもやっぱり他のニンゲン共と同じ輩なのか?」
「見捨てたりなんかするもんか!!」
 眼力だけでも負けはすまいと、彼をきっと睨みつける。
「フン。まあ、命の瀬戸際に立たされたことのないお前さんに、両方の世界で死線を潜り抜けてきた俺の相手をしろといっても無理な話かもしれんがな……。儀式が行われるのは、4日後にある皆既月食の始まる時刻だ。彼女を本気で取り戻したいと思ってるんなら、それまでに出直して来いや。期限までに神殿に来れば、相手をしてやる」
 ゲドに肩を貸して立ち去りかける。広場を出る前に、トラは思い出したように朋也を振り返った。
「……朋也、1つ忠告しておくぞ。お前さんとこの仔猫ちゃんにゃ十分気をつけたほうがいい」
 続けて〝仔猫ちゃん〟の方を向く。
「そうそう……ミオ、お前さんにもいいことを教えといてやる。カイトがこっちに来てるぜ」
「カイトが……」
 そっとその名を口ずさむ。
「また会おうぜ」
 そう言い残すと、村の門に向かって歩いていく。2人の背中は押し迫る夕闇に溶け込むように見えなくなった──


※ ゲーム上ではミオとジュディのどちらの好感度が高いかにより自動判定。
ミオ    ジュディ

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